PHASE04

 

 

 

 

 


今日はカガリといっしょに買い物だ。
待ち合わせ場所に少しだけ早く来て彼女を待つ。
今日はどんな可愛い笑顔を見せてくれるんだろうと思えば、自然に口元が緩んでしまう。

「アスラン!お待たせ・・・!」
「カガリ・・・!」

元気で可愛い声に振り向いた。
その声に負けない可愛い笑顔を向けてくれる。
あまりにも可愛くて仕方がなくて、俺は自分の手を彼女へと伸ばした。

キスの合図を送る。

いざ、唇に唇で触れようとしたら、カガリがきょろきょろと周りを気にし始めた。
そんな小動物のような愛らしさも可愛くてたまらない。
俺は知らずに笑ってしまった。

「わ、笑うなよ・・・」
「ごめんごめん。カガリ・・・・・・・」

甘い雰囲気を持たせて彼女の名を呼べば、カガリは目を瞑った。
キスのお許しがでた瞬間だ。

 

 

カガリの唇は柔らかい・・・。
とても甘くて大好きだ。
少し長めのキスを終えると、ゆっくりと唇を離した。

「ん・・・・・・・」

キスのあとに必ず零れる色のある声に胸が鳴る。
そのあとは、すぐに俺から目を逸らす彼女。
先ほどの艶っぽい表情とは正反対の子供っぽい仕草もすごく可愛い。

可愛くて可愛くて可愛くて、もう、どうしようか。

「可愛い・・・」
「わ!」

 

 

自然に伸ばしてしまったこの手は、カガリを捕らえて離さない。


角度を変えてカガリの唇を奪う。
今度は回りの目を気にする間もなかったけれど、カガリは受け入れてくれた。
甘い、彼女とのキスは心地がいい。

 

 

 

2度目のキスが終わった後、俺はカガリの手をとった。
「行こうか?」
恥ずかしかったのか、彼女は答えを返すかわりに、その小さな手で俺の手を握り返す。

彼女の歩幅に合わせて、その手をひいて並んで歩き出した。

 

 

 

 

今日は二人でぶらぶらとあるお店を覗いてみることにした。
この店はどんなものでも揃っているから、とても楽しめる。

 

 

 

 

 

それに・・・・・今日は・・・・・・

 

俺はあるものを彼女に贈ろうと心に決めていた。

 

 

 

 

 


その前に少しだけ店内の衣服を見ていたら、

「アスラン!この服どうだ?」

とカガリが声をかけてきた。

「試着してみろよ?」
「うん」

カガリが楽しそうに俺に言うから、俺もそれに答えてあげたくて、
選んでくれた服を持って試着室に行く。
後で何かカガリにも可愛い洋服を着てもらおうかな?

 

選んでくれたその服を着て鏡に映った自分を見たら、少し恥ずかしかった。
カガリが選んでくれたのだ。
まるで新婚夫婦ではないか・・・?

「・・・・・・・・・っ」

恥ずかしさを忘れるため、頭を振って試着したままカガリのところへ戻る。

 


「お待たせ、カガリ」
「わ・・・!おまえ似合う・・・!」
「そ、そうか?なんだか照れるな」

好きな子に、似合うと言われて嬉しくないわけがない。
よし・・・!この服、買うぞ!

と心の中で意気込んでいたら、俺が購入意思を述べる前にカガリが言った。

「気に入ったか?」
「あぁ」
「じゃ、私がプレゼントするぞ!」

突然の贈り物宣言で俺はびっくりする。

「えぇ!?い、いいよ・・・カガリっ」
「ダメだ。プレゼントしたいんだ!」
「カガリ・・・・」
「もらってくれ・・・?」


あぁ・・・・そんな顔しないでくれ。
俺は君のその顔に弱いんだから・・・。
君にそんな顔されたら、どんなことでも頷いてしまう。
わかっててやってるんだろうか?
俺の負けだよ。

「わかった。ありがとう。大切に着るな」
「うん!」

俺の言葉に、嬉しそうに笑ってくれたカガリ。
男としてちょっと情けない気もするが、すごく嬉しい。

 

 

 


カガリが会計を済ませてくれてる間、俺は店員さんにあることを聞いてみた。

「すみません」
「はい?なんでしょうか?」
「・・・・・・・指輪、見たいのですが・・・」
「あぁ!・・・・もしかして・・・・彼女へ贈り物ですか?」
「え・・・えぇ・・・・」

恥ずかしさで店員とうまく目が合わせられない。
けれど、俺はずっと思っていた強い決意を口にした。

「彼女に・・・・その・・・っプロポーズしようと・・・思うんです・・・」
「まぁ!素敵ですね!」

この店の店員とはいえ、初めて会う相手にこんなこと言う俺は珍しい。
きっと興奮してるんだ。
嬉しさと緊張と、やってくるだろう幸せな時間を思って・・・。


「指輪・・・どんなものがいいのか全くわからなくって・・・」
「そうですわね・・・あら・・・?」

店員の視線は俺からずれてとある方向へ向いていた。
不思議に思って俺も振り返り、店員と同じ方向へ目線をやる。

 

そこに居たのは・・・

 

 

 

「彼女、指輪に興味がおありみたいですね?」

 

カガリが店内に飾られてあった指輪をじっと見ていたのだ。

「・・・・・・・カガリ・・・・」
「指輪は好きな人にしか贈られたくないものです。プロポーズ、成功するといいですね」

 

店員の言葉になんだか元気付けられた。
それってつまりは、カガリは俺からもらいたいって、
少しだけでも思ってくれたってことだろうか?

ドキドキしてることを悟られないように必死で、カガリのもとへと駆け寄る。

「カガリ?」
「・・・・・・あっ」
「カガリ・・・指輪見てたのか?」
「あ!ごめん!違うんだ・・・!」
「・・その・・お、俺が・・・・」

俺が、君に、指輪を贈るよ・・・と伝えるつもりだった。
そうしたらカガリが頬を染めて、頷いてくれるのだ。
そうなるはずだった。

「もういいから!行こう!」
「え・・・」

カガリの返答は俺の予想とは全く違うものだった。
俺は彼女に腕を引っ張られ、ついて行く。

しつこいかもしれないけれど、さっきのことをちゃんと聞いておきたくて
俺がもう1度彼女に指輪のことを尋ねようとした時・・・・

「お、お腹空いたな・・・!」

カガリが言った。
たしかにお昼時だ。
それに彼女の言葉を無視できるはずなんてない。

「・・・・そうだな。食事しようか」
「うん!」

しょげていたような顔から、一転、元気が出てくれたようで、俺はホッとした。

 

 

 

 


近くのレストランに入って料理を注文する。
注文した品がくるまでの間、俺は彼女の肩を抱き寄せた。

 

「あ・・・」

 

そうして、彼女しか知らない声で語りかける。
できるだけ、そうできるだけ甘い雰囲気で・・・

 

 

「カガリ・・・・さっきの指輪・・・・」
「・・・・・!わ、忘れてくれアスラン!」
「え?」

自分でもしつこいヤツだと思ったが、どうしても知りたかったのだ。
けれどカガリはそれを拒否した。

「指輪見てたの・・・忘れて・・・」
「カガリ・・・・」
「頼む・・・・」


沈んでしまった彼女の表情。
もしかしたら、俺から贈られることを怖れてるのか・・・?
指輪には興味はあるけど、俺からもらうのはイヤだったのかもしれない・・・。
それがばれないように必死なのかも・・・。
頭をぐるぐる回る辛い考えに、自分も落ちこんでしまいそうになった。

 

何よりも、こんな悲しそうなカガリを見たくない。

 

「ん、わかったよ」

 


今にも泣き出しそうなその瞼にキスをする。
そのすぐ後、料理がきたので食事を始めた。

 

 


俺は、少しでもカガリに笑っていてほしくて、指輪のことは一切触れないことにした。

 

 

 

 

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