「ははうえが・・・・げんきがないの・・・」

見るからにへこんでいる息子に、アスランは返す言葉が見つからなかった。

 

 

 

 

 

 


Be  Happy

 

 

 

 

 

 

子供部屋のカレンダーの18日は、アスランがちらりと見てみれば何時の間にか赤い丸で塗りつぶされていた。
この3日間、順番にたくさんの丸を毎日つけていたのだろう。

そしてその子供部屋は、この3日間でまるで幼稚園のお遊戯会のような飾り付けで埋め尽くされていった。
すべて子供たちの手作りだ。
ワッカを繋げてできたラインは、たくさんの色の折り紙でできていてとても華やかで、
近くで見ると子供が作ったとわかる雑さもあるが、温かい気持ちになれる、手作りの飾りだった。

そう、ほとんどが子供たちの手作りなのだ。

 

時折アスランが高いところへの貼りつけに協力したが、
「ちちうえにもひみつなの!」
と言いながら秘密をばらしてる息子たちの言葉に、アスランは笑いを堪える日々だった。

 

 

今朝から頑張っていた飾り付けも大体終えて、あとは大切な日を待つだけとなったのだが、
一息ついたところで、次男のライルが先程の台詞でカガリのことを心配して聞いてきたのだ。

「ちちうえ、どうしてだとおもう?」

「いや・・・・・・それは・・・・・・・」

まさか、おまえ達のせいで元気がないんだよ、だなんて大人気ないことを言えるはずがない。
そんなことを言って子供を泣かせてしまえば、それがカガリをさらに泣かせてしまうことにもなりかねない。
上手くこの場を乗り切ろうと考えを張り巡らせるが、なかなかいい案は浮かばなかった。

 

「・・・あした、げんきになってくれるといいね」
「そうだな・・・きっとなるさ」

口篭もる父親を見て、次男は何かを感じ取ったのだろうか。
それ以上尋ねてくる事はなかった。
そして、きっと元気になると言ったアスランに向かって微笑む。

次男はアスランにうりふたつではあるが、笑顔が可愛いいところはカガリ似だ、と、
またキラあたりから、親ばかと言われるかもしれないことを思ったアスランは、
子供たちがずっと描いてきていた絵と、長めのリボンを手に持っていることに気付く。
どうやら絵は完成していたらしい。
見たいけれど、主役より先に見る事は我慢することにした。

「リボンはあかね」
「あか!」

丸めた画用紙と、赤いリボン。
それを用意していた赤いリボンでくくろうとしている。
けれど、小さな手はなかなか上手く結ぶ事ができず、二人して悪戦苦闘中だ。

「手伝おうか?」
「「だめ!」」

相変らずの二人の声の重なり具合に声を出して笑ったら、長男は膨れっ面になってしまった。
ちょっと意地っ張りだけれど、やっぱり可愛いところもカガリ似だ。
親ばか、の前に、ただのカガリバカなのかもしれない。

 

自分は何をプレゼントしようかとまだリボンを結んでいる子供たちを見ながらアスランは思った。

 

 

毎年互いの誕生日には物は贈らない。
そのかわりに相手の言う事を何でも聞いたり、無償の愛を贈るのが二人の間の決まりごとになっていた。
何かあれば、お祝いと、感謝と、そしてありったけの愛を贈ってはいるものの、
今見ている子供たちの健気な姿には、親として以前にカガリを巡るライバルとして負けられない気持ちにもなる。
我ながら恥ずかしいくらいにヤキモチ焼きだ。

 

アスランがそんな考えに浸っていると、やっとのことで結び終わった二人が可愛らしい歓声をあげている。
長男が、くるりとアスランのほうを振り向いて尋ねてきた。

「とうさんは、なにをあげるの?」
「そうだなぁ・・・・・」

どれだけ悩んでも、答えはひとつしか浮かばない。
やっぱりいつもと同じものをあげるべきだろう。

自惚れでも何でも無くて、カガリが1番喜んでくれるものだと知っているから。

 

「すごく、いいものかな」

 

自分で言いながら照れてしまう。
明日は、たっぷりと愛を贈ろう。

 

 

この贈り物だけは、未来永劫、彼女以外に渡すことはできない特別なもの。

 

 

 


「あしただね!」
「うん、あしただ!」


元気良く話す二人を見て、やっぱりカガリに似て可愛いと思った。

こんな素敵な子を二人も贈ってくれたカガリへ
お祝いと、感謝と、最上級の愛情を用意しよう。

 

 

 

 


あと1日。

 

 

我が家の一輪の華が、最高の笑顔を見せてくれる日まで、あと1日。

 

 

 

 

 

 

 

 

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