「それでカガリ、落ちこんでるんだね〜」

 

まるで他人事のように言う、彼女のたった1人の兄弟。
その隣では、桃色の髪を揺らしながらくすくすと笑っている女性。

 

 

 

 

 

 

 

Be  Happy

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに幼馴染みの親友に子供たちを連れて遊びにおいでと誘われたアスランは
ドライブがてら車を走らせてヤマト家へとやって来た。

 

子供たちはラクスが出してくれたお菓子に夢中で、大人たちの会話には興味がないらしい。
先程の台詞のように、たまに「カガリ」という単語が出てくる時だけ、
まるで小動物のようにぴくりと反応して顔をあげるが、大人3人が気にせず会話を続けていくと
またお菓子に夢中になっている、の繰り返しだ。

ちなみにそのカガリ、は、アスハ邸で書類と格闘中。
手伝おうとしたアスランの行動はばっさり遮られ、せっかくの誘いなんだから行ってこいと、
子供たちの子守りをまかされるとともに送り出されたのだ。

 


「素敵なことですわ。真剣に悩んでるカガリさんには申し訳ないような気もしますが・・・」

 

ラクスが言った。
申し訳ないと思う気持ちは本当のようだが、それでも子供たちの味方らしい。

 

カガリのための行動である以上、暫くはカガリには寂しい思いをしてもらうことになる。
そのかわり18日はカガリが泣いて喜べるほどに、一生の思い出になるほどに
盛大に家族でお祝いしようとアスランは心に決めていた。

 

 

 


「ねぇねぇ、僕には?何かくれる?」
「子供にまでねだるなよ」

子供たちがカガリへのプレゼントを作成中と知ったキラがわくわくした表情で尋ねてきた。
けれどもそれを呆れ顔でアスランがキラをたしなめる。
もちろんキラだって本気で言っているわけではないのをちゃんと知っている。

「はぁい!キラおじさん、おめでとぉ!」
「え?僕のぶん、あるの!?」
「うん!でも18日はははうえの日だから、きょうがキラおじさんの日だよ」

そう言って子供たちは長男が背負ってきていた青のリュックサックから丸まった白い画用紙を取り出した。
渡された白い画用紙には、やはり折り紙をちぎって作った絵が貼られてある。
茶色の折り紙をちぎって作った貼り絵、すぐ横には桃色の貼り絵。
人間なのかどうかも怪しい形ではあるが、間違いなく2人が並んでいる絵が出来あがっている。

「まぁ!わたくしも居るのですか?」
「うん!キラおじさんとラクスさんはいつもいっしょなの!」
「ありがとうございます!大切にしましょうね、キラ?」
「もちろん!ありがとう!」

自分が隣にいたことが本当に嬉しかったようで、
ラクスはうきうきとしながらその画用紙を空に掲げて眺めてみた。
キラも同じくらい嬉しそうに、画用紙の中の絵とラクスを交互に見やる。

「器用なところはアスランに似ましたのね」
「そうでしょう?あ、特に、このあたり・・・すごく上手にできてますね」
「・・・・・・・・親ばか・・・」
「いいよ。事実だし」

家族のこととなると、口元と頬が緩んで別人になるアスラン。
親ばかだなんて批判のような言葉は彼には効き目がないみたいだ。
気を取り直して、キラは気になっていることを1つ聞いてみた。

 

「で?アスランは何くれるの?」

 

子供たちがこんなに素敵なものをくれたのだから、親であるアスランが何もしないわけないだろう。
長年親友をやってきたのだから、そろそろ自分が最新型のパソコンが欲しいことくらい知ってるはず。
目を輝かせながら、子供みたいにキラは尋ねたのだが、
アスランが返した言葉はキラの予想を覆し、肩を落とさせるものだった。

「この間、トリィのメンテナンスしてやっただろう」
「えーー!!あれがプレゼントなのー!?」
「そうだ」
「えぇぇぇ!!」

 

 

2人の会話を聞きながらラクスは笑っていた。

いつまでたっても変わらないこの2人の関係は、見ていてとても微笑ましい。
女2人、時にヤキモチを妬いてしまうことさえあるほどだ。
もっとも彼らからすれば、女2人の絆の深さにもヤキモチを妬いているのだけれども。

 

キラとアスランの微笑ましい言い争いに、長男のウィリが声をかけてきた。

「キラおじさんは、かあさんと、おそろい?」
「・・・おそろい?」
「誕生日が一緒なのかって事だろ」
「あぁ!」

アスランの通訳のおかげで子供たちの言った言葉を理解したキラは、
子供たちの頭を順になでながら言った。

「そうだよ。おそろいだ。君達と一緒だね」
「うん!」
「おそろいおそろい!」

 

無邪気にはしゃぐ姿はカガリの姿そのものだ。
彼女が子供を産んで母親になったことを、いまだにどこか信じられない気持ちを持ってるキラでも
やっぱり納得させられる。

 

 

カガリの子供だと思わせてくれるほど、素直で元気で可愛い子たちだから。

 

 

「・・・・・・・・・・・カガリ、アスランの奥さんだもんね・・・」
「何だ。今更そんなこと・・・」
「・・・・・・・・寂しい・・・・戻ってきてくれないかな・・・」
「それは無理だ!」
「アスランのけち!」
「カガリは俺のものだ!」
「僕はカガリのお兄ちゃんだ!」

 

また始まった、今度はなんとも可愛らしい喧嘩にラクスは口に手をそえて笑い出す。
いつまで経っても絶えることのない、2人の可愛い喧嘩と素敵な関係。

 

 

キラとアスランから見たら、
喧嘩はあまりしないけれども自分とカガリもそんな素敵な関係なのだろうか。

そう思うと、なぜだか幸せな気持ちになって、ラクスはもっと笑っていたくなった。

 

 

 

 

 


5月18日はお祝いをしなくては。

大切な人が2人も生まれてきてくれた日。

 

 

 

 

大切なあの人の誕生日まで、あと2日。

 

 

 

 

 

 

 

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