※本当にすごく阿呆な作品です、ご注意※

 

 

 

 

 

 

 

 

 


アークエンジェルの通路を、カガリは鼻歌まじりで歩いていた。
世は戦争のせいで殺伐としているはずなのに、どうもカガリを中心とした世界は華やいでいる。
それもこれも
「アスランって、巨乳好きだったんだ〜。ふふ!」
と激しく勘違いしているカガリが居るからに他ならない。

あの日から(1参照)、カガリはシャワー後に3人娘に胸のことでからかわれようと
おしゃべり好きな年頃の3人娘のかっこうの餌食になっていることも気付かないまま、
「アスランが巨乳好きだからいいんだっ」
と文字通り胸を張って答え続けている。


そんな毎日が幸せで楽しくてしょうがないカガリの目に今飛びこんできたのは、
「・・・・・・アスランだ!」
大好きで大好きで大好きすぎる彼。
この通路で出会えるなんて思っていなかったからカガリの瞳が嬉しさで輝き、
その名を呼ぼうと片手をあげた瞬間―――

「マリュー艦長・・・?」

カガリの視界に入ってきたのは、大好きな彼だけでなく、アークエンジェルの艦長マリュー・ラミアスもだった。
何やら2人で会話をしているみたいだ。
アスランがほんのりわずかに微笑んだのを見て、カガリの胸は感じたことのない痛みに襲われる。
さっきまで、あんなに嬉しくて幸せだった気分が一気にしぼんでしまった。
カガリは踵を返して2人から離れていく。なんとか今見たことを忘れようとした。

「・・・・・・・・アスラン・・・・」

ちくりちくりと胸を押そう痛みの中、零れる言葉は愛しい名前のみ。

一体自分は何をえらそうにしていたのだろうか。
彼の恋人でもなんでもないのに・・・・ただアスランは大きい胸が好きだというだけなのに。
それが=自分を好きだと勘違いしてしまっていたのだ。

「そうだよ・・・・バカだな・・・私って・・・・」

自分でもらしくないと思えるほど後ろ向きな考えに走ってしまう。

「ほんと・・・バカだ・・・・・」

自分のバカさ加減に涙が出てきてしまう。あんなに浮かれて。
どうして気付けなかったんだろう。

「アスランは87センチより97センチが好きなんだってことに・・・・っ」

そうだ。アスランは大きい胸が好きなのだ。
あの艦長の前では自分の胸など張り合えるはずもない。
そういえば、ここ最近あまり会いにきてくれなくなった。
少し前までは毎日、毎時間のように自分のもとへとやってきてくれたというのに・・・
思い返せば、嫌われてしまった事実がたくさん浮かび上がる。
自分の身体がまるで鉄の塊のように重く感じ、その足をひきずるようにしてカガリはその場をそっと去った。

 

 

 

 

 

青春の日々2

 

 

 

 

 


あの後、カガリは1人食堂の椅子にぼうっとしたまま腰掛けていた。
ラミアス艦長は女の自分から見ても美しく聡明で素敵な女性で、年下男が一目で惚れこむ要素は数え切れないほどだ。
そういえば、友達であるアサギやジュリやマユラが毎晩夢中になって見ていた学園ドラマは、
ラミアス艦長のようなスタイル抜群の美人教師にアスランのようなカタブツ優等生が惚れこむという話だったような気がする。

「・・・・・・・はぁ・・・」

こうやって1人で暗い考えに浸っていると、ため息しか出てこない。
自分らしくなくて、それがまたため息にかわってしまう。
本日何度目かわからない大きな息を吐き出した時、カガリの耳に見知った柔らかな声が聞こえてきた。

「カガリ?どうしたの?」
「・・・キラ!」

その声に顔をばっとあげた。
やはり目の前に居たのは、大好きなキラだ。
心配そうな表情でこちらを見ている。そのキラの顔を見て、カガリは本能的に無理やり笑顔を作った。

「いや・・・・なんでもないんだ」
「なんでもないって顔、してないよ?」

優しく微笑みながら問い掛けてくるキラ。
カガリの作り笑いをすぐに見抜いてみせた。
カガリの笑顔はいつも太陽のような人を惹きつける明るさがある。
だから、こんな寂しそうに笑うのは本心からではないことにすぐに気付いた。

カガリとは少し違うが、キラの笑顔も人を惹きつける魅力があるから不思議だ。
人を安心させる。そして全て話し明かしたくなってしまう。
それくらいキラの柔和な微笑みは威力があるのだ。
だからカガリは思い切ってキラに話してみることにした。

「実は・・・・・その・・・・・・」
「ん?」

急かすようなことはせずにキラはカガリの言葉をじっと待つ。
優しい眼差しにカガリも促され口を動かす。

「・・・・・・・アスラン・・・・私のこと、嫌いになっちゃった・・・」
「え!?」

驚きを隠さずキラはそれを声にする。
そんな冗談言わないでと言おうとしたら、俯いているカガリの表情が本当に真剣で、
キラはカガリが本気で思い悩んでいることを知る。
「大丈夫だよ、カガリ・・・・・」
「キラ・・・・・」
「アスランが・・・あのアスランがカガリを嫌いになるだなんて・・・」
あるはずがないだろう。
それこそ『世界が明日滅びるんだ』が、『アスランがカガリを嫌いになった』、よりずっと信憑性があるくらいだ。

カガリの頭をそっと撫でてあげると、次第に安心してきたのか堅かったカガリの表情も安らいでゆく。
キラはその手で髪を撫でたまま言葉を続ける。
「信じて。アスランはきっと君を嫌いになったりなんかしないから」
大好きな妹と大好きな親友には幸せになってほしいから。
キラは2人の幸せを祈りカガリに優しく語りかける。
「もしまだ不安なら、ちゃんとアスランと話してごらん?」
君の心配は杞憂で終わるから、とキラはそう言ってからカガリの頭からその手を離した。

「・・・・・うん!そうだよな!うん!」
「よし!いつものカガリだね」
「ありがとう・・・キラ・・・」
「どういたしまして」

ふんわりと笑った顔は、男のくせに綺麗で可愛くて安心する。
アスランと違ってドキドキすることはないけれど、カガリは心を軽くしてくれるこの微笑が大好きだった。
胸のつかえがすっと取れ、カガリに1つの考えが思い浮かぶ。

「・・・・私・・・・・」
「ん?なぁに?」

またキラが微笑んでくれる。
だから、カガリの中で小さくて大きな勇気が芽生えたのだ。

「・・・・・・私・・っ、アスランに・・・告白する・・・!」

いつまでもうじうじ悩んでるだけでなんていられない。
彼に不釣合いな部分があるのなら、これから努力すればいいだけのこと。
そう、胸が小さいのなら大きくなるよう努力すればいいだけのことなのだ!
こんなカンタンな答えにも気付けなかった自分を心の中で叱責しながらカガリは気合を入れる。

「告白してみせる・・・!!」
「カガリ・・・・がんばって!」
「あぁ!まかせろ!キラ!」

迷いのなくなったカガリは、誰よりも男前だ。
思い立ったら吉日、0.1秒も無駄にしたくない、とカガリは早速行動に移す事にする。
けれど、自らアスランのもとへと周りをなぎ倒してでも乗りこんでいきそうなカガリを止めキラは言った。
「僕が呼んできてあげるよ。少し喋りたいこともあるし・・・10分後に展望デッキにおいで?」
そう言って席を立ったのだった。

 


キラを見送った後、彼の言う通り展望デッキへ向かおうとしたら食堂で置き忘れられた雑誌をカガリは見つけた。
偶然、飲み物をとりにきたミリアリアが「多分ディアッカじゃない?そんな本読むのって」と言ったからディアッカのものだろう。
告白すると決めてからカガリには迷いなんて一切なくなったが、コーディネーターの男の情報は些細なものでもほしい。
アスランと同じくコーディネーターのディアッカの持ち物ということもあり、
なにより、表紙を飾る水着姿の艶やかなお姉さんがラミアス艦長に思えてきて、
カガリは興味心や謎めいた使命感で雑誌をめくってみた。

そして、そこに書いてあった一言に、衝撃を受けるのだった。

 

 

 

 

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