2人の休日・土曜日  Side A

 

 

 

 

 

 

 

 

 


激しく甘く愛しあった翌日は、必ず俺が先に目覚める。

 

 


朝9時31分
そっとベッドから抜け出す時に、カガリにこっそりキスをする。
彼女が眠りについてまだ数時間。
まだ疲れているだろうから、起こさないようにここは慎重に。
それなのに、寝言で俺の名前を呼んでくれたから嬉しくなって
1回で終わらせるはずのキスを5回してしまい起こしそうになってしまった。
危ない危ない。


9時57分
軽くシャワーを浴びて身支度を整えると、濃い目のコーヒーを飲みながら新聞チェック。
カガリとの会話のネタに面白そうなニュースを見つける。
今日はカルガモ親子の大行進、が見事に夫婦の会話のネタに選ばれた。
こういうの、彼女は大好きなのだ。


10時45分
ブランチ作りのためにキッチンに立つ。
作るものは誰でもカンタンにできるもの。卵を混ぜてフライパンへ。
できあがったスクランブルエッグを味見したら、少しだけしょっぱかった。
失敗したかもしれない。
やっぱりカガリの料理のほうが、ずっと美味しい。


11時23分
トースターにパンをセットしたら、カガリを起こしにベッドルームへ。
「ん・・・・もう・・・朝・・・?」
もうすぐ昼だと伝えたら、眠たそうにしながらも行動を開始する。
彼女におはようのキスをした。
目覚めてから本日の1回目。
・・・・・・・・本当は6回目のキス。


11時43分
カガリといっしょにブランチ。
しょっぱい卵が気になったが、俺が思うよりカガリは気にしなかったみたいだ。
けれど今度はもっと上手く作れるようになっておこう。
美味しいものを食べてもらいたいし。


12時17分
俺が食器洗い。カガリが洗濯。・・・・・・ベッドのシーツが気になるらしい。


13時00分
一息ついたところでカルガモの話。
「えぇ!本当か!!どこにいるんだ!?」
うきうきしたカガリを見て、本日のニュースが彼女にヒットしたことに安堵する。
本当に嬉しそうに笑ってくれて、カルガモ親子に感謝した。


13時7分
俺が教えたカルガモ親子の記事に見入るカガリ。
そのあとはスポーツ欄、そしてテレビ欄へ。
見るものは毎回決まっているのだ。
スーパーのちらしチェックも忘れない。
この時ばかりは俺に構ってはくれない。真剣だ。
・・・・・・・・・・・・・少し寂しかった。


14時20分
何気なく新聞を広げてテレビ欄を見たら、
本日19時半からの格闘技戦生中継に赤い丸がされていた。
同時刻、そのすぐ隣の局の動物番組にも丸がされてある。
・・・・・・・・録画の用意をしておかなくては。


15時40分
おやつの時間。
今日はキラとラクスが昨日持ってきてくれたチーズケーキを頂いた。
とても美味くて、カガリも気に入ったみたいだ。


16時23分
カガリが電話をかけている。
相手は多分ラクスだろう。
「えぇ!?キラが〜?」
やっぱり受話器の向こうはラクスだ。
華やかで賑わう声が聞こえてくる。
聞いてないふりをしながらも、耳は一点集中。
お喋りはすぐには終わらない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し寂しかった。


17時29分
いつまでも電話を続けるカガリを後ろから抱きしめた。
「ひゃっ・・・」
受話器を当ててる耳とは反対の耳にキスをする。
「・・・・・・・・・・・ん・・・」
「カガリさん?どうかされました?」
「あ、いいや!な、なんでもない・・・っ」
抱きしめていると、受話器の向こう側の声も聞こえてくる。
身じろぎしながら、ラクスに今の状況を悟られまいと、カガリは必死だ。
ちょっと意地悪したくなって、耳を軽く噛んだ。
「・・・・・・・・・・ふぁっ!!ごめん!ラクスッ、また明日!!」
「あらあら」
勢いよく受話器を置く前に小さく聞こえてきたラクスの声は、なんだか全てわかりきったような返事だった。
「バカ!アスランのバカッ!」
耳を抑えて抗議をあげる彼女。でも離さない。寂しかったんだから。
だから今度は首筋にキスをした。
もっと怒られた。


17時32分
電話を終えたカガリは夕食の買い物へ。
・・・・・・1人で行こうとしたカガリの後を慌てて追った。
俺は荷物持ち。どんな重い荷物だって何だって持つ。
カガリと2人で居られるのならば。・・・・・もちろんさっきの反省も兼ねて。


17時51分
買い物中。
チリソースコーナーは買い物ルートに外せない。
カガリはまだちょっと怒ってる。


18時33分
帰宅。
早速キッチンへ向かうカガリ。また後を追いかける俺。
手を洗って、エプロンをつけて袖をまくる。調理体勢に入った。
夕食が楽しみだ。
でもやっぱりちょっと怒ったままで、笑ってくれない。
・・・・・・・・・・・・そろそろ機嫌を直してほしい。
笑ったカガリが見たい。寂しい。笑ってほしい・・・・・・・。寂しい。
「・・・・・・・・・・・〜もう!バカッ!そんな顔するなよな・・・・もういいから・・・」
・・・・・・・・・・じっとカガリを見ていたら、なぜか許してくれた。よかった。
けれど一体俺はどんな顔をしてたんだろうか・・・?
「おまえ、犬みたいだ」
そう言いながら笑ってくれたから嬉しくて、俺はごめんと言いながらキスをした。
そのキスは、瞳を瞑って受け入れてくれた。


18時45分
「先に風呂入ってきていいぞー」
キッチンのカガリが言った。
それならば一緒に・・・と思ったけれど、今日の夕飯の材料と格闘中を見て、諦める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し寂しかった。


19時7分
風呂から上がると真っ先にキッチンへ行った。
手際のよいカガリを見て、とりあえず布巾を持ち出してテーブルを拭くことにした。


19時9分
テーブルを拭き終わると、する事がなくなった。


19時12分
やっぱり何か手伝おうとしてキッチンに入るが、カガリに追い出される。


19時13分
格闘技戦を思い出す。カガリは調理に夢中で忘れてるみたいだ。
録画用のディスクを2枚持ち出して、両方撮ることにした。


19時30分
録画開始。
カガリにテレビ始まるぞと声をかけると、本気で忘れてたのか「あぁ!!」と大きな声で驚いている。
録画してることを伝えると、可愛い笑顔で、ありがとうと言ってくれた。
録画してよかった。本当によかった。


19時40分
夕食完成。いい匂いが部屋を満たしている。
その上、カガリの笑顔で心が満たされる。
皿に盛り付けたら2人でテーブルに運んだ。
テレビはちょうどカガリお気に入りの選手が登場したところで、
興奮したカガリが飲み物をこぼしそうになって、2人で慌てた。


19時47分
「いただきまーす!」
元気いいカガリの声とともに夕食の時間が始まる。
今日はビーフシチューだ。
とても美味しい。カガリの料理はなんでも美味しい。
それを伝えたら、「バッ、バカッ!!」と、真っ赤になっていた。
とても可愛い。カガリの表情はなんでも可愛い。全て可愛い。


20時29分
夕食終了。
皿をキッチンの流しに持っていくとカガリはリビングに戻ってくる。
そしてテレビに夢中になる。
後片付けをしろ、とは言わない。カガリは言われなくてもちゃんとするから。
よくできた奥さんだ。俺の、奥さんだ。


20時56分
格闘技戦終了。
カガリが何やら専門用語を口にしながらキッチンへ。
格闘技に興味のない俺は理解できない。マウントって言うものが何なのかわからない。
とにもかくにも、後片付けを手伝おうとしたら休んでていいと言われた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し寂しかった。
だからやっぱり手伝った。
困ったように笑うカガリの横で、カガリが洗った皿を拭く。
こんな小さな行動がとても幸せだと実感する。


21時18分
カガリが風呂に入るらしい。
俺もいっしょに・・・・と言ったら怒られた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さっき入るんじゃなかった。

21時49分
風呂上りのカガリの髪を乾かす。
ドライヤーの温風を当てると、気持ち良さそうに瞳を閉じる。
そんなカガリを見るのが好きだから、カガリの髪を乾かすのが、大好きだ。


22時01分
夜のニュース番組を2人で見る。
カルガモ親子が出てきた瞬間、カガリが飛びあがって喜んだ。
そんな彼女の姿が可愛くて、俺もこっそり心の中で飛びあがって喜んだ。

 

 

 

 

 

 


23時25分

 

 


夜のニュースが終わった。


2人の間には優しい沈黙が流れる。

 


テレビを消すと、さらに部屋は静かになって、何も言わなくても、自然にキスが紡がれる。

まだ、キスだけでも恥ずかしがるカガリのその身体を抱き上げて、2人のベッドルームへ。

 

 

 

 


激しく甘く愛しあった翌日は、必ず俺が先に目覚める。

 

 

 

 

だからきっと、明日も俺が早起きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

アスラン・カガリとの愛を語る(笑)。
とにかくカガリへの愛で動くアスランが書きたかったのです。

マウントって普通わかりますよね・・・。書き直すのもアレなんでそのままにしときましたが(笑

 

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