フレイ・アルスターの場合

 

 

 

 

 

 

カガリが教室を出ていってから面白い事がおきた。


うちのツートップの1人がいなくなったらなんだかわたしの独壇場で男の子は騒いでくれるし、
可愛い男の子は遊びにやってくるし・・・それ以上にあいつ。
うちのクラスの恋する未来の生徒会長。

 

「フレイ・・・!カガリは!?」

 

荒い息遣いからみて全速力で教室に戻って来たのは
クラスメイトでもあり未来の生徒会長でもありカガリの奴隷みたいな男アスラン・ザラ。

「運ないわねぇ、アスラン」

本当に。カガリは少し前に教室を出ていったんだもの。
笑いながらそれを伝えると、アスランは見るからにショックを受けてその場に項垂れる。
すれ違いだなんて、私からみたら面白いもんけど。

私はひらひら手をふって追い出そうとした。
この神聖な場で男は必要ないのよねぇ・・・。
なんせこいつがカガリといい関係だって、うちの学校の人間はともかくとして、
一般来場のお客様に知られたら順調な客足と売上がぱたりと止まりそうだし。
まぁ、この顔だけあれば女性客はひっつかまえてこれそうだけど・・・こいつにそんな芸当ないだろうし。
まだ動物園のパンダのほうが可愛い〜!って客の心を掴まえそうだわ。
なぁんてちょっーーとだけ失礼なことを考えてしまったのだけれど、

アスランはそれに気付かずその場で項垂れたまま人生の絶望をさまよい始めている。
・・・こいつ、誰かどうにかして。

「あのねぇ、別に後でいくらでも会えるでしょ!?」
「で、でも・・・!」
「そこでうろつかれたら邪魔なの、わかる?」
「し、しかし・・・」
「・・・営業妨害で訴えるわよ!!」

きっと睨みつけて脅せばびくりとしてしゃんとする。
そうやって背筋を伸ばすのは結構だけど、理由が如何せん情けなくて涙が出てくる。

そしてどうでもよくってちゃんとアスランを見ていなかったけれど、気付いてしまった。
・・・・ださい赤いエプロン・・・。
もう、ツッこむ気も失せた。カガリが可愛い!とでも言ってくれると思ったのだろうか。
いつもいつもこの男には頭を痛めさせてもらう。
カガリ一筋の男どもは顔は非常に私好みだけれど、中身に関しては真逆を行く。
その顔だけいい男アスランは、びくびくとこちらの様子を覗っていたけれど、
暫くしてその視線がクラス内を一周してから急に俊敏になった。


「フレイ・・・紙とペンないか?」
「へ?」


いきなりのことに私の目は点。
これもまた新しいカガリ用語なのかと、何を言っているのかさっぱりわからなくて言葉を返さずにいたら、
そのまま教室内へと許可なく入ってきた。
そして飾り付けしている後ろのロッカーから置いてあった白い紙と赤いマジックを取り出して何か書いている。
書き終わったら画鋲をこれまたロッカーから4つとりだして、これまた許可なく目立つところに紙を貼りつけた。
その文字に私は唖然とした。

 

「それじゃ!カガリを見つけに行くから・・・!」


颯爽と駆け出したのはいいが、その場に残されたこの張り紙。
どうしろと?
剥がしたいけれど剥がしてしまえば何か男の意地の呪いがかかりそうで・・・


・・・私は見なかったことにした。

 

 

 

 


この後数分後、カガリは戻ってくる。
「放送室行ったことないから迷っちゃったぞ〜」
と言う彼女とさっきの彼の見事なまでのすれ違いに、私はまた笑い出しそうになって困ってしまう。

「えー!アスラン来てたのか!?」
「来てたわ。そりゃもう、迷惑なくらい」

うんざりした様子で言ってやった。
本当にあいつ、どうにかならないのかしら。
視線だけで訴える。それに気付いたのか、カガリは私の向けた視線へ焦点を合わせた。

 

「・・・・なんだ?【撮影禁止!!!】・・・?」

 

それは効果があったのかなかったのか、
カガリが戻ってきた途端カメラのシャッター音は鳴り始める。
だからわたしは皮肉をこめまくって言ってさしあげました。

「あんたの旦那の残した足跡、営業妨害よ」
「・・・も、もう!旦那だなんて・・・!!バカァ!ま、まだ結婚してないんだぞっ」
「・・・・・・・・・・」

 

・・・論点がずれてるわ。

もう、ダメ。このバカップルを誰かどうにかして。

 

 

 

 

 

 

 

 

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