カガリ・ユラ・アスハの場合

 

 

 

 

 

 

<ちょ・・!俺を無視しないで下さい・・・ッ!それにその名は何ですかッ!>

 

そこでぷつりと切れた校内放送。
そこから聞こえてきたのはこの学校の生徒会長と幼馴染のアスランの、漫才。
残ったのは、舞い上がった花火への拍手と、漫才へのクラスメイトの爆笑。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

唖然としてしまった。
なんて恥ずかしいことをしでかしたんだ、アイツは。
キラがお腹を抱えて大笑い中。
クラスに残っていた人間もみな笑っている。私は・・・赤くなっている。
なぜなら、
「カガリー、あんたの旦那相変わらず会長といるとおもしろいわよね〜!」
とフレイや色んなやつから言われてしまったから。
もう!からかわれたの、アスランのせいだ!
私はその場で固まって赤くなるしかできなかった。

 

笑っていたキラが、自分を落ちつかせるためか紅茶のカップに手をつけて、
ひーひー言いながら紅茶を飲んでいる。
ごくりと飲み干した後もまだ笑いが収まらないのか目元を拭って今度は荒い息遣い。

「あはは!・・・あ〜あ!もう、アスラン!派手にやっちゃったね〜」
「あいつ、バカだ・・・!」
「あれ?カガリ、今更気付いたの?」
「・・・・・・」

当たり前だと言わんばかりにすっぱり冷静に言い返されてしまった。
・・・知っていたさ!アイツがバカだってことくらい!


でもどうやら、ちゃんと生徒会の仕事に入ったみたいだ。
もしかして放送係か何かかな・・・?
あいつ、喋るの苦手そうなのに・・・ハイネ会長ってば楽しんでるよな・・・。

アスランと会長ってほんとに仲がいい。ちょっと羨ましい。
でもアスランってキラ以外にあんまり心を許すようなところないから、きっと今の二人の関係はすごくよいことなんだ。
アスランはそれにまだ気付いてないみたいだけれど、きっといつか気付くはず。

だって、ハイネ会長って、ほんとにアスランのこと思っていてくれている。
後輩思いのすごく素敵ないい先輩だもんな!
二人の会話を思い出すと、私も嬉しくなってくるんだ。

 

 

キラがパウンドケーキを食べ終わって、空になった皿にフォークを置いた。
ごちそうさま、と小さく呟いてから私に声をかけてくる。

「ねぇ、カガリ・・・このケーキって持って帰れるの?」
「うん。切り分けてるから包んで持って帰れるようにしてあるんだ」
「へぇ・・・じゃ、僕、このカガリが作ったチョコ、もう2切れ欲しいな。包んでもらっていい?」
「はーい!ありがとうございます〜!」

目指せ、チョコパウンドケーキ完売に1歩ずつ前進していっているのが嬉しくて、
キラの追加注文に私は浮き足立ちながらも準備する。
パウンドケーキとか、サンドウィッチはテイクアウトできるようにしてあるんだ。
大抵のものは朝に作ってもう教室内にあるけれど、足りないものは調理室で作ってそれを男子が運んできてくれる。
階段を駆け登ったりして男子は体力勝負だ。・・・私もそっちのほうがよかったんだけど・・・

フレイが「女子は絶対メイド服よ!そのほうが売れるわ!」と言い出して、その案がすんなりと通ってしまった。
でも実際、フレイが言うように売上は順調だ。みんなきっとフレイの可愛い姿を見たいんだなぁ・・・。

 

そんなことを考えていたら、なんだか視線を感じた。
ぱっと振り向くと一般来客の男性が赤い顔でこちらを見ていた。どうしたんだろう?


「・・・あの・・・ご注文でしょうか?」
「え!?あ、あ・・・!あなたが作ったものとか・・っあ、あ、あありますか・・・!」
「はい。チョコパウンドケーキがありますよ」
「じゃ、じゃじゃ!そ、そそそれを・・・っ」
「ありがとうございますー!」


優しい人だなぁ。別に私に声かけられたからって私のものを注文してくれなくっていいのに。


「こ、こここっちにも、お、同じものを・・・っ!!」


「お、おおお俺も・・・くださいっ!」


ちょっと離れた席の、今度はこの学校の男子生徒と、中学生くらいの男の子が立ちあがり手をあげて言った。


「はーい!」


みんな甘いもの好きなんだなぁ!

 

 

 

色んな人が私のパウンドケーキを美味しい、って食べてくれた。
それがすごく嬉しくて、キラに頼まれていたことをつい忘れるところだった・・・!
私は慌ててテイクアウト用の水玉模様のついたビニール製の袋の中にチョコパウンドケーキを2切れ、
包み込んだあとは赤いリボンでくくりつけて可愛らしくラッピングした。

きゅっと、リボンをくくりつけたところで、ふと思いつく。
そうだ、アスランにも食べさせてあげよう!
私が作ったチョコのパウンドケーキ、お昼休みにあいつのところへ持っていってあげれば・・・。
ちょっと甘いケーキだけれど、きっと喜んでくれるはず。
ゆっくり休むヒマもないだろうから疲れてるだろうし、だから甘いものがいいかもしれない。
パウンドケーキを受けとって、にこにこと笑ってくれるアスランの顔を思い出して、ドキドキしてきてしまった。
あぁ、可愛いな。大好きだなぁ。

っと、いけないいけない。またキラのこと忘れそうになってしまったぞ!

 

それがばれないうちに、私はキラに渡すパウンドケーキの包みを持って、キラのところへ戻った。

「お待たせ、キラ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ん?ごめん、待たせて。怒ってるのか?」
「・・・みんなカガリを見てるね」
「あぁ、ケーキ気に入ってくれたみたいで!」
「・・・・・鈍感」
「?」
キラが呆れた表情でそう言った。
何が何だかわらかない。一体キラは何を言いたいんだ?
あ・・・も、もしかして・・・
「ケーキ、やっぱり甘すぎたか!?」
「・・・・・・超鈍感」

そう言ってキラはまた呆れた表情を見せて、紅茶のおかわりを注文してきた。

 

鈍感って、何が?

 

 

 

 

 

 

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