カガリの誕生日の記念の記者会見は、1日遅れで始まった。

 

 

 

 

 

 

Be  HAPPY

 

 

 

 

 

 


今日は息子達も、子供用の礼服に身を包んで会見場の椅子に座っている。
たかれるフラッシュの眩しさに、時折目を細めながら、
それでも大人しく、記者と両親の受け答えに耳を傾けていた。

「カガリ様、昨日の記念日はご家族といかがお過ごしになられました?」
「えぇ。子供達が素晴らしい贈り物をしてくれて、とても素敵な日になりました」

フォーマルで、イヤらしくない程度に肌を出しているドレスに身を包むカガリ。
結婚する前は、会見場で着用する礼服と言えば軍服だった。
アスランと結婚してからはさすがにその服・・・というわけにはいかず、
ドレスを着ることも多くなり、今では公の場ではほとんどがドレス姿だ。
それを見る息子二人はいつも笑顔だ。
その理由は、母親の綺麗な姿が大好きだから、である。
会見前、カガリに向かって可愛いを連呼する姿はどこからどう見てもアスランの子だと思わせるほどだ。

そしてコーディネーターの血が強いのか、ナチュラルの間に生まれてきた子より少し成長が早い気もする。
この年で、公私の言葉遣いもきちんと使い分けれるのは我が子ながら見事としか言いようがない。
いずれオーブを背負ってゆく息子たちの成長は頼もしい。

今度はそんな二人に質問が飛んでくる。

 

「折角ですのでウィリエル様とライリエル様にもお母様のお誕生日についてお聞きしましょうか?」

自分の名前が出て、長男は質問を投げかけた記者に真っ直ぐ視線を向けた。
次男は普段から大人しく静かな性格だが、長男ははっきり言ってそれとは真逆だ。
双子でこうも違うのは不思議に思うが、考えてみればキラとカガリだって結構性格が違うので納得する。
けれど今日の長男は次男を見習ってか大人しい。
利口な子なのだ。
この場所が、走りまわっていい場所でないことをちゃんとわかっているのだ。
カガリはそれが誇らしかった。

 

「お母様のお誕生日、何を贈られたんでしょうか?」
「はい。えをかいて、あげました」
「ぼくもかきました」

長男に続いて次男も声をあげる。
可愛らしい返答に、アスランもカガリも記者たちも自然に笑顔になった。
質問を投げかけた記者が、続けてもうひとつ尋ねてきた。

「どんなお誕生日でしたか?」
「はい。ちちうえとははうえはとてもなかがよかった、たんじょうびです。」
「ぼくもそうおもいました」

 

可愛らしい返答も続けられ、会見場はまた笑顔になる。
こんな可愛い返答がずっと続くなら、笑顔のままのはずだった。

 

けれど、次の瞬間夫婦は凍りつく。

 

 

「ずっとずっと、ちゅうをしてました!」

 

 

ずばりと言い放った長男。

凍りついたはずのアスランとカガリは同時に頬を真っ赤にさせる。
それと同時に記者からもれる笑い声。
カガリが長男のお喋りを止めようとする前に、次男が長男の耳へと内緒話を始めた。

「にいさん、だめだよ。そういうこといっちゃ」
「なんで?」
「あとでおこられちゃうよ?」
「でも、いっぱいちゅうしてたぞ」

 

本人達は小声で内緒話のつもりなんだろう。
けれど、オーブの技術力を集結させて作ったであろう高性能マイクは、
ばっちり二人の幼い可愛らしい小声をひろっている。
夫婦二人は、真っ赤になりはらはらしながらも厳かな会見場で取り乱す姿を見せまいと必死だ。
アスランが何度も咳払いをし、カガリは子供たちに状況を悟らせようと何度も目配せする。

が、そんなことにも気付かずにおかまいなしの子供達。
話は終わるはずもなく、長男が言葉を続けた。

 

「じゃ、あれは?いったらおこられるかな?」
「あれってなぁに?」
「よる、へやにいったら、とうさんとかあさんがはだかでちゅ・・・」
「「わーーーー!!!!!!」」

これ以上、二人の甘い時間をこんな場でばらされるわけにはいかないと、
アスランとカガリがそろって立ち上がり慌てて二人がそれぞれ子供たちの口を塞ぐが万事休す。

 

全てをわかりきって真っ赤な夫婦と、何もかもわからずきょとんとする双子。
厳かなはずの会見場は一転、その場が揺れるほどの爆笑に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっはははははは!!!」
「キラ・・・・笑い過ぎだ・・・」

あの会見はオーブ全土で生放送されていた上、世界各国に今週の笑えるニュースとして取り上げられた。
会見翌日の新聞もこぞってこの温かい愉快なニュースを前面に押し出してきたのだ。
あれだけ恥ずかしい思いをしたというのに、遊びに来たヤマト家でもからかわれてはたまったもんじゃない。

「いいじゃない!夫婦不仲説が流れるよりずっと!」
「そりゃそうだけど・・・」

もごもごとはっきりしないアスランの背中をキラは元気よく1度叩いた。

「夫婦仲がいいのが1番だよね!」

そう言ってまた背中を叩く。
これではゆっくりお茶を飲む事さえできないではないか。

それにしても・・・キラにしてはめずらしい。
普段ならカガリに対して異常なまでの庇護欲を見せるのに、今日は実に対応が大人だ。
どうしてかと尋ねてみれば、
「僕、アスランよりお兄ちゃんだから!」
と返された。

なるほど。

胸を張ってそう言う姿は、お兄ちゃんというよりまだまだ子供だということは、
この際黙っておいたほうがよさそうだとアスランは思った。

 

 

 

 


「二人とも!できたぞ〜」
「お待たせしました!」

今日はキッチンから、女性二人の声。
プラス幼い子供二人の声。

「しちゅーだよぉ!」
「しちゅー!」

ちょうどお腹が空いてきた頃だ。
アスランとキラは立ちあがる。
大好きで仕方のないそれぞれの妻の待つダイニングルームへ。

「楽しみだな、ラクスの手料理美味しいから!」
「カガリだって、負けてないぞ」

 

言い合うと、二人同時に吹き出した。

 

どちらがよりお兄ちゃんか、なんてことよりも、
どちらがより妻を愛してるかのほうが自信があるのだ。

 

「ちちうえー!キラおじさーん。はやくー!」
「おなかすいたぁ!」
「はいはい」
「今行くから!」

 

 

二人は元気な声のもとへ急ぐ。
愛する妻と、愛する子供たち。

大切な家族のもとへ。

 

 

 

ずっと、大切な人たちのもとへ。

 

 

 

 

 

 

 

END

というわけで!なんとか全て終了いたしました!
双子生誕記念小説、全6話!
クリスマスに続いて短期間で連続UP頑張りました〜!(最後遅れてごめんなさいっ)
最後にもう1度、キラ・カガリ、お誕生日おめでとう!!
大好きだ!!

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