大型で非常に強い台風は、このままの勢力を保ちながら北上してくるでしょう。
みなさま、ご注意を。

 

 

 

 

 


台風警報

 

 

 

 

 


「たいふう?ってなぁに」

 

小さな瞳がカガリを捕らえた。
ここから先はお決まりの質問攻撃のはじまり。
幼い二人に捕まってしまった妻を見て、アスランは微笑んだ。

そしてカガリは見ていた雑誌を閉じて、子供たちに向き直る。

「・・・・・えっと・・台風ってのはな、風がいっぱい吹くんだ」
「どれくらい?」
「・・・えっと・・・」

風速や風力を説明したってわからない。
そもそもカガリにだって詳しいことなんてわからない。
天気予報士じゃないんだ。
晴れか雨かだけ知っていれば、それで十分な人生を送ってきていたのだから仕方がない。

「・・・その〜・・・だからだなぁ・・・」
「「だから?」」
4つの碧の瞳がこちらをじっと見ている。
逃げ出す事はできそうもない。それならば・・・

「・・・アスランっ!パス!!」

「えぇ!?」

妻から無慈悲にも言い渡されたパス宣言に、アスランは情けない声をだしてしまいながらも、
こうなってしまっては逃げることができないと経験上わかっており諦めカガリのかわりに子供たちに向き直った。
4つの瞳が、今度はアスランを捕らえる。

「ねぇ、なんで?」
「なんで?」
「え・・・・と・・・・」

ちらっと妻を見てみると、何事もなかったかのように紅茶のカップに手をつけていた。
目線だけで「たのむぞ!アスラン!」ということだけはわかったが・・・。
アスランは子供たちに気付かれない小さなため息をつく。
カガリよりは詳しく説明できる自信はあるが、子供相手に台風の詳細を話したところで通じるはずがない。
どれくらいの風が吹くかなんて、どう説明したらいいのか・・・お手上げ状態だ。
だからアスランは最終手段にでてみた。

「おまえたちはどう思う?どれくらい吹くと思うんだ?」

質問には質問で返してみる。
以前見た子育て番組で、子供たちに質問をされたら
子供たちの持つ世界観を壊さず意見を聞いてやることが大事だと知った。
だから案外これは効くのだ。

「えっとねぇ!いっぱいかなぁ」
「うん!いっぱい!」

カガリに似て単純で可愛い子供たちはすぐに思いついた答えをかえす。

「おはなのたねがふわーっていっぱいとぶくらい!」
「とぶの!」
「・・・・そうだな。いっぱいだな」

身体全身で種が飛ぶ瞬間を表すところは本当にカガリにそっくりだ。
小さな身体がぴょこぴょこ飛び跳ねる。
にっこり笑いながら子供たちは言葉を続ける。

「それじゃ、たいふうのつぎのつぎのひは、おはないっぱいだね!」
「おはな、いっぱい!さくの!」

子供たちは、信じているのだ。
つい先日遊びに行った野原で見つけたたんぽぽの種が風で飛ばされると
新しい花が次の次の日に咲くと信じてしまっている。
台風の次の次の日に花が咲き誇ってくれるかは神頼みしかない。
だから、それは難しいなと言ってやるべきか迷ったが、
アスランは今は大人しく子供たちの世界に耳を傾けてあげていた。

 

 

けれど、にこにこ笑っていた長男が、突拍子もない問題発言をしてくれた。

「それじゃ、たいふうのつぎのつぎのひは、あかちゃんうまれてくる?」
「ごほっ・・・っ!?」

カガリが飲んでいた紅茶を噴出しかけてむせている。

「だって、ふーってするんでしょ?いっぱいするんでしょ?」
「するんでしょ?」
「えっと・・・あー・・・」
「けほ・・・っ」

カガリはいまだに自分の胸を叩いたりさすったりして、苦しそうだ。
頬が赤いのは、むせたからだけではないんだろうが。
アスランはその背中をさすってあげた。

「大丈夫か・・?」
「あ・・・や・・うん・・・っ」

アスランの手は休まずにカガリの背を撫でつづける。
それに少しずつ落ちついていく、カガリ。
子供たちも心配そうに見ていたが、カガリがなんとか笑いかけると、安心して同じように笑い出す。
それに油断してまたカガリが笑い返せば、子供たちはまたもや問題発言を愛らしい笑顔で口にする。

「「うまれてくる?」」
「〜〜〜〜!!!!」

これ以上ないほどカガリが赤くなった。
純粋で、穢れを知らない幼い碧の瞳は、これでもかと言うほどにカガリに衝撃を与えてくれる。
こればっかりは、どう答えたらいいかわからない。
台風なんかと比べる事もできないくらい難しい問題だ。
アスランは低くうねり声をあげる。

「う〜ん・・・・」

 

そして思いついた考えを素直に口にした。

 

「いっぱいするか?」

「ば・・・・!!」

 


バカ!!!!!!と、部屋の中が揺れるほどに
可愛い愛する妻の大声が、台風並の勢力で響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず・・・どんなに頑張っても明後日にはムリだとわかっているから・・・

「10ヶ月待ってくれるか?今日がんばるから!」
「「うん」」

と、こっそりした男の約束を、カガリは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

END


アスランがんばれ!(笑)

台風ってそんなによいものではありませんが、小さなものなら大好きです。
今回のはちょっと大きいので笑い事ではないかもしれませんが・・・
そういえば大阪って台風あんまりこない。
どうせくるなら朝6時から8時にきてくれて、電車がとまって仕事が休み!やった!
・・・・・・ってなってほしい(笑)。

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