父さんと母さんの結婚10周年記念ドラマはキスのオンパレード。

見事なノンフィクション作品になる。

 

 

 

 

愛は真夏の......

 

 

 

 


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・」

 

たった今、ドラマ放映が終わった。1つの番組の中で1時間ほどこのドラマを流した。
あの撮影から二日、ドトウの早さで編集してくれたみたいだ。
編集するところなんてなかったのかもしれないけどさ。

 

母さんが黙ってるのはちょっとした怒りと照れから。
父さんが黙ってるのは目標を達成できた優越感から。
弟が黙ってるのは、恥ずかしいから。
オレが黙ってるのは・・・・・・・・さわらぬ照れ屋の母さんにタタリなし。
それとも、フウフゲンカは犬も食わない?

 

とにかく、ドラマの中の父さんは、事あるごとに母さんにノーコーなキスをする。
母さんは最初こそ抵抗するけど、次第に力がぬけたのか、父さんに寄りかかる。
これが面白かったのかステキだったのか、撮影は1度も止まることなく続けられた。
一発OKってやつだ。しかもぶっつけ本番。


オーブ全土に放映されたであろうこのドラマは、2人の仲のよさを国民に教えたのか、
2人のノロケをひたすら国民に見せつけたのか、どちらかわからない。
オレとしては前者であってほしいけど、後者でも国民は大喜びしてそうだ。

 

「・・・・・・・・アスラン・・・」
「ん?」

声のトーンがいつもより低い母さんと、いつもより高い父さん。
2人の温度差は歴然だ。

「まったくおまえは反省してないのかっ!?」

母さんの怒鳴り声も笑顔で受けとめる、父さん。
怒られても怒られても母さんへのキスはやめない、父さん。
そして、怒ってるのにホントはキスが嬉しくて仕方ない、そんな母さん。

 

2人の間に生まれてきてよかったと思う。
きっとライルもそうに違いない。
ちらっと弟と視線を合わせたら、オレに向けて笑った。
どうやら全くおんなじことを考えていたみたいだ。

 

またちわ喧嘩中の父さんと母さんを見てみる。

 

・・・・・・・あ、父さんが母さんにキスしたそうな顔をしてるぞ。
あの目元は、いつもキスする3秒前だ。

だからオレとライルはわざとらしく視線を外した。

そうしたら、そのすぐあとに母さんが静かになった。どうやらキスが始まったらしい。
困るなぁ。父さん、そういうのは2人きりでやってよ。
子供たちの前では遠慮してほしい。

 

けど、フウフ仲良しなのが1番だ。

 

つけっぱなしのテレビはCMを終え、2人から視線を離していたオレの目に司会者とコメンテーターが映った。

「いや〜、このご様子だと、新たなお子様が誕生するのも近いでしょうな〜」

と言ったコメンテーターは、2人の仲を祝福するかのように笑っていた。
司会者もおなじように微笑んでいる。

新しい子か・・・・・・。
その通りだと思うぞ。次は女の子がいいな。

・・・・・・オレ、女装せまられることもなくなるし。


オレがそんなことを考えていたら、キスが終わったらしくて、
母さんの「バカ!」っていう声と軽い平手の音が聞こえてきた。

見なくても今どんな状況がはっきりわかる。

ハイビスカスみたいに真っ赤で可愛い母さんが、にやけてる父さんの頬を軽く叩いてる。
でもそれは全然痛くなくって・・・
なによりも、母さん、ほんとはすごくすごくすごーく嬉しいんだ。
2人きりだといっぱいしてるでしょ?なんだかすごく暑くなってきちゃった。

暑さの原因が何なのか、知ってるからオレとライルは同時に肩を震わせて笑ってしまう。

 

 

 

 

父さん、母さん、10年目おめでとう。これからも「アツイ」ままでいてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END
 

愛は真夏のハイビスカス。
はい。センスのなさがよくわかる、素晴らしいタイトルです(笑)。
そして、アスハ家は毎日「あつい」のです。


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