その日は2月14日だった
prologue
透明なガラスの向こう、目にした小さなその姿は、紛れも無い自分と彼女の分身たち。
何かを訴えかけるかのように手足をばたばたと動かす様子に、涙腺が緩んでくる。
自分がよく泣くなんて、昔の自分は知らなかった。
カガリという最愛の女性に出会って、知った色々な感情たち。
もうこれ以上なんてないといつも思うのに、新しい思いは湧き上がるばかりだ。
彼女が笑えば、彼女が泣けば、彼女が怒れば・・・・
そして、今、最愛の人は、
言葉にできない新たな感動を産み落としてくれた。
「・・・・・やば・・・」
緩んだ涙腺からは自然に涙だけが溢れてくる。
格好悪いと思いつつ、止まることをしてくれない。
初めての我が子たちの対面がこれじゃあ、なんて頼りないお父さんだと思われるかもしれない。
そうだよ。
俺は頼りないんだ。
何の力も持っていない、ただの弱虫だ。
でも、カガリと出会って少しずつ変わっていけた。これからもっと変わっていける。
だから、精一杯君たちを守っていこう。
家族四人で、頑張っていこう。
「・・・・・・・・・よろしくな・・・・」
アスランが呟いた言葉は、ガラス越しで届くはずはなんてないのに、
小さな双子は同じように彼に手を伸ばした。
その愛しい動きを見て、アスランの頬をまた涙が伝った。
2月14日
痛みしかないこの日に、最愛の人は、この胸に、狂おしいまでの喜びをプレゼントしてくれた
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