女子ロッカールームにて。


カガリの日課になりつつあるアサギ・マユラ・ジュリの3人とのMS訓練後、
パイロットスーツを脱ぎシャワーを浴びて出てきたカガリをじっと見ていたアサギがこう言った。

「巨乳ってバカなんですって」

カガリのことを指し示しているのだと、カガリの胸に向けられた視線が物語っている。
にやにや笑いながら言ったアサギの言葉に、ジュリとマユラは同時に噴出し、カガリは反論する機会を失った。

 

 

 

 

 

 

青春の日々

 

 

 

 

 

 

「アスラァンッ!!」
「カガリ!」

クサナギの通路にて、3人娘と同じくカガリの訓練に付き合っていたアスランに声がかけられた。
振り向けば向こうから駆けてくるのは、愛しくてたまらない少女。
最近自覚したばかりの恋は、まだ始まったばかりの想いだというのに、すでに制御不能なくらいまでに膨れ上がっている。
けれどそんな彼でも、自然に彼女の名前を呼び返す声にも愛しさがこめられてしまっていることはまだ気付いていない。

そうして今、その愛しき彼女が元気よく手を振りながらこちらに向かってくるではないか。
あまりの勢いに、アスランは両腕を広げて受けとめる覚悟、というより願望を頭の中で描いた。
ぎゅっと抱きしめたことが1度だけあるが、あの時の感触は忘れることができない。
柔らかくて、温かくて、食べたわけではないのに甘く感じて・・・・・・これが恋なんだと初めて知った。

婚約者に抱けなかった想いを、今カガリに全身で感じている。
この上ない幸せに、頬は緩む。可愛い彼女のその姿に、頬が緩む。


今日は一体、何を話してくれるのだろうか。
どんな可愛い言葉を自分にプレゼントしてくれるのだろうか。
抱きしめるチャンスはあるか、できればファーストキスも、いや、その前に告白を・・・

緩む頬さえ隠さずに、アスランは満面の笑みでカガリがこちらに来るのを待った。

そして手が届きそうな位置に彼女がきた時、アスランは自分の手を差し出し彼女の手をとる。
こちら側に優しくひっぱって、バランスを整えるようにもう一方の手はカガリの腰へ回す。
せいいっぱい甘く見つめながら今度はカガリの第一声を待った。

「アスランッ」
「ん?なんだ・・・?」

甘い見詰め合いのまま、余裕なんてないくせに紳士ぶってみる。
心の中では、歓喜の雄叫びをあげながら悲鳴をあげそうなほどに高鳴っている心臓に喝を入れ、
いかにも大人の男の対応をしてみるが、彼女を想うがゆえ熱い手の熱でばれているかもしれない。

そう、そんな見せ掛けだけの男の余裕は、彼女の一言でもろくも崩れ去るのだ。

「アスランッ!」
「ん?」
「私ッ巨乳か!?」
「うん。そうだな、柔らかくって・・・・・・・・・・ってえぇぇぇぇッ!!!???」

思わず彼女に腰に回していた手を離してしまった。
カガリはそれを気にするでもなく、さらにアスランに顔を近づけて尋ねてくる。
吐息がかかる距離で、可愛いその瞳がアスランをしっかり見つめてきて、
余裕ぶっていたあの態度はあっけなく崩れてしまい、
林檎も真っ青なほど真っ赤になったアスランに、カガリは遠慮する事もなく言葉を続けた。

「や、やっぱり大きいのか・・・!?私って巨乳なのか・・・!?」
「え?あ?え?あ?え?あ?」

もはや混乱で頭の中がショートしかかっている。
きっと今、自分の体温は45.5℃だ。
カガリの表情と胸を交互に見てしまいそうになる自分を心の中で一発殴り、
おかしくなった呂律を正そうにも、まずは頭の中を整理することが第一だと、アスランはその場で深呼吸してみせた。

「アスラン?」
「ちょ、ちょちょちょ待って・・!待ってくれ・・・!」

深呼吸を遮るように声をかけてきたカガリを止め、もう1度深く息を吸いこむ。
そしてゆっくりその吸いこんだ空気をはく。
これは落ちつかせるためのまじないだ。
そう、いやらしい気持ちなんてなかったのだ。

けれど、偶然にも、息をはいた瞬間、視線がカガリの顔から少し下がり、胸へと移ってしまった。

 

カガリの、胸へ。胸。それは胸。

 

 

「う、わぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!??」

「へ?」

 

赤色のジャケット越しではっきり見えるわけではないが、
自分が覚えてる彼女の下着姿と触れた感触とが同時に思い出してしまい、それに加えて先ほどのカガリの発言により、
アスランのコーディネーターの脳は、必要ないだろう!と言ってやりたいほどにカガリのあらぬ姿を想像してしまった。

大声をあげて自分からばっと離れたアスランを不思議そうに見つめカガリは彼の様子を伺う。

 

「お、お、俺のバカ!バカッッ!!」
「はぁ?」

自分の頭をポカポカと叩き始めたアスランに、
カガリが彼に向けていた不思議と思う視線は、不審な視線にかわってしまう。
そのうち壁に頭をぶつけはじめそうな雰囲気だ。

「あ、アスラン・・・さっきの質問に・・・」
「!!!」

自分を殴っていたアスランの手が止まった。
耳まで真っ赤になったアスランは、カガリに視線を合わせることもできなくなり、
通路の天井を見上げながら叫ぶ。

「お、俺にはわからない・・・!!と思う!!ぞッ!!」

この一言を言うためだけの緊張のせいで背中がピンと張っている。
先ほどまで彼女に触れていた両手もぴったりと自分の真横にあり、直立不動の姿勢。
それなのに、見上げた天井にカガリのあらぬ姿がまた浮かびあがり、
今度はその格好のまま思い切り首を振って目を瞑った。

 

「でも、アスラン、私の胸見たことも触ったこともあるだろう?」


「ッあぁっい!!!??」

 

カガリの爆弾発言にアスランは自分でも理解できない声をあげ瞑っていた目を勢いよく開けた。

 

ある。
確かにある。あるあるある。

 

例えそこに、ほんのわずかの色気さえないとしても、確かにあったのだ。
そしてそこに色気がなくとも、その見たことも触ったこともあるという彼女の言葉に、
今、どことなくいやらしい手つきになってしまうのも健康な10代少年にはしょうがないことだ。

「私、87センチなんだけど、別に珍しくないよな・・・?」
「は・・・っ!!」

87センチ。

というのがどれほどの大きさかというのも、女性経験のないアスランにとって詳しくはわからない事柄だが、
それがディアッカあたりが持っているグラビア雑誌のお姉さんたちと並ぶくらいの数字だということは、
お堅い日々を過ごしてきたアスランにだってわかること。

「は・・・っ、は・・・っち・・!」

87、87、87、87、87。
数字がぐるぐると頭をまわる。
多分、一生忘れない。

 

「なぁ・・・・アスラン・・・こたえて・・・?」

 

どことなく、どことなくではあるが甘えるような声を出してくるカガリ。
何だか誘われているような気分だ。
一体何に誘われているというのか。

このままその手をとって、誰もいない部屋に連れこんで、愛してるという言葉とともに
『ちゃんと確かめてあげるよ・・・?』なんて言える度胸も勇気も根性もあるはずがなく、
アスランはただ口をぱくぱくと金魚のようにひくつかせていたが、
このままここに居れば、彼女のあまりの可愛さと無邪気な誘惑のせいでこの場に倒れてしまうと判断し、
両手に拳を作って握り締め、最後の力を振り絞ってカガリに向かって叫んだ。

 

「大きいと思う・・・・・・!でも俺はそんなカガリの胸が大好きなんだぁッ!!!!」

 

それだけ言うと結局カガリと視線を合わせないまま、アスランはその場から、
ものすごいスピードでカガリの傍から離れ逃げ出したのだった。

 


「・・・・・・・・・・・・・・・アスラン?」


その場に残されたカガリは、一瞬で起こった出来事に呆然としていたが
自分の両手を胸に当ててみる。

「そっか・・・・。アスラン、大きいのスキなんだ・・・・」

ロッカールームで言われた巨乳バカ説も、アスランが好きだと言うならバカでもいいか、と
アスランに負けず彼を想うカガリは思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

END

 

あぁぁあぁぁ〜青春の日々よ〜
ってとこです(笑)
真っ白純白純真純情ザラカガ。とは見せかけのお馬鹿話でしたッ!!
微妙にシリーズ化するかも、しないかも・・・。

 

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