☆★☆アストロ物語。☆★☆
だいじゅういちわ:カガリとアストロとやっぱり時々アスラン・・・なのニャ♪
翌朝、少しだけ眠気が拭い切れない幸せ者の二人は、
アストロにあの話をすることにした。
カガリが大好きなアストロは、きっとカガリと離れるのを嫌がるかもしれない。
けれどカガリから聞いた話によれば、子供たちと本当に仲良くなったみたいで、
アストロの見たこともない表情を見たほどらしい。
もちろん、最終的な判断はアストロ自身に任せるが、
アスランとカガリの気持ちは固まっていた。
「アストロ・・・よく聞きなさい」
アスランは襟を正すようにアストロに声をかける。
『にゃにかニャ?』
アストロはいつものように無邪気だ。
これから何を言われるのか想像もしていないのだろう。
「この前・・・孤児院に行ったよな?ほら、子供たちがたくさんいたところ・・・」
『うん!アストロ、カガリといっしょに行ったニャ!とっても楽しかったのニャ〜
カガリ、次はいつ行くの?アストロ、みんなに会いたいのニャ!』
アストロは本当に楽しそうにそう話す。
小さな身体がぴょんぴょん飛び跳ねて、今にも踊り出しそうなほどだ。
少しだけ、なぜか罪悪感が胸を通りすぎたが、カガリはぐいっと飲み込むようにして、
アストロに語りかける。
「・・・アストロ、おまえココを出て、孤児院で暮らさないか・・・?」
『・・・え!?』
まっすぐな瞳でカガリが言った言葉に、アストロは飛びあがるほど驚いた。
最初は冗談なのかとも考えたが、カガリの真剣な顔を見て・・・本当のことだとわかる。
そうすると、今度はとてつもない焦りがアストロを襲った。
『アストロ・・・いらにゃい子にゃの?カガリ、アストロいらにゃい・・・?』
「違う・・・!それはない!私は、本当にアストロが大好きだ・・・!」
否定してくれて、大好きと言われてアストロはほっとする。
大好きなカガリに嫌われたら・・・それはとてもとても悲しいことだからだ。
でもどうしてここを出て行かなくてはいけないのかがさっぱりわからなくって・・・
助けを求めるようにカガリのすぐ隣にいたアスランを見上げた。
アスランは、アストロの大好きな柔らかい笑顔のまま話し始める。
「アストロ・・・。ここにいてもいつだって遊んであげられるわけじゃない。
俺とカガリは仕事で遠い場所に行かなくちゃいけないことだってある。
いつもおまえを連れていけるわけじゃないんだ」
微笑みながら、一言一言伝えてくれたアスランに、アストロは落ちつきを取り戻して行った。
それに気付いたアスランも、言葉を選びながらアストロに語りかける。
「それに・・・アストロ、おまえは施設の子供たちが大好きだろう?」
『うん!アストロ、みんな大好きニャ!』
子供たちと遊んだことを思い出したのか、さっきまでの不安そうな瞳は消えうせ、
きらきら輝くかのようにはしゃぐアストロ。
それを見て、本当に楽しかったんだとアスランは思い、カガリに視線を投げかけた。
カガリは全てわかったかのように嬉しそうに頷きアストロに向き直る。
「アストロと同じように・・・あそこにいた子はみんなおまえが大好きなんだ。
おまえと話してとっても幸せそうだったよ。
あの子たちには・・・アストロが必要なんだ」
『・・・カガリ・・・ぃ』
諭すようにカガリは言った。
もっとも、アストロにはまだ「諭される」という言葉は頭で理解できないはずだ。
けれど、真摯な瞳がかち合って、カガリがとても大切に言葉を告げてくれているのはわかる。
そんなカガリを見て、アストロもずっと思っていたことを口にした。
『アストロね・・・ずぅっと悩んでたのニャ』
「・・・え?」
『アストロは、カガリのアスラン、みたいな人になりたかったのニャ。
でもカガリにはアスランがいて、アスランが大好きにゃんだよね?』
「・・・う、うん」
改めてアストロに問われればすごく恥ずかしい気もするが、この気持ちは嘘じゃない。
気恥ずかしさを隠すことはできなかったが、カガリは頷いた。
隣のアスランが、嬉しそうに目を細めたのをアストロは見逃さなかった。
『アストロ・・・アストロを必要としてくれる人がいるのにゃら、その人のために頑張りたいのニャ・・・』
いつだってアスランはカガリを、とっても「大切な瞳」で見ていた。
それは「恋人の瞳」。
アストロはそれが羨ましかった。
恋人、は見つからなくとも、せめて、大切、は手に入れたい。
ずっとずっと、なりたかったもの。
『カガリのアスラン、みたいなニンゲンになりたいのニャ!』
それはアストロの夢だった。
おっきくて、強くって、ちょっと弱くてエッチだけど、すごくすごく頼りになるアスラン。
そんなニンゲンになりたかった。
誰かに必要とされたかったのだ。
だから、アストロの答えはもうしっかりと決まった。
『アストロ、子供たちのところへ行くニャ〜!』
「アストロ・・・!」
元気いっぱいに宣言したアストロを見て・・・
カガリには親心のような気持ちが湧き上がり瞼の奥が熱くなる。
アスランとアストロの大好きな琥珀の瞳にはたくさん涙がたまって・・・
大きな瞳から今にも零れ落ちそうだった。
できれば笑顔を見たいアストロはカガリの傍に抱きつくように寄る。
『にゃかないでね?カガリ。大丈夫!
♪とおくぅ〜はなれぇてぇえーるぅほどにーぃい、ちかくぅにかんじてる〜〜ぅ〜ぅ、にゃの!』
「・・・ぷっ!アスランだな・・・、音、ずれて覚えてるぞ・・・!」
「面目ない・・・」
アスラン譲りの音痴は、カガリの心を癒してくれた。
そうだ。
遠く離れていても、心は1つ。
だから大丈夫!
『アストロ、頑張るニャ!子供たちといっぱい遊んであげるのニャ!』
瞳を爛々と輝かせ、アストロはいつものようにぴょんぴょん飛び跳ねる。
施設の子供たちもきっと同じように喜んでくれるだろう。
仲良しの友達をたくさん作って、いつまでも元気を分け与えてあげられる、そんな子だ。
アストロは、自慢の子供なのだ―――
アストロは旅立つ決意をした。
それは何とすがすがしい日の出来事か。
アストロは語る。
未来を夢見て、子供たちへの壮大な夢を、アスランとカガリに語る。
『みんなエッチな本、もってるかニャ〜?』
「「・・・は!?」」
『エッチな本がなくて元気がない子供たちも、押し倒したら元気が出るよね!』
「・・・・」
「・・・・」
『一晩で何回押し倒しできるかニャ〜。少なくとも5回はヤらないとね!』
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
『きっとみんな乳が大きくなりたいから、アストロ頑張ってモミモミするのニャ〜』
「「・・・・・・・・」」
『モエモエパワーで頑張るニャ!乳もみもみ〜楽しみニャ〜♪』
「・・・・・・・・・・・・・アスラン」
「・・・あぁ、わかってる」
どうやら彼を子供たちの元とへ連れていく前に、アスランには一仕事が残っていたのだった。
それから数日後、いらぬ言語メモリーを消去されたアストロは、
『いってきますニャ〜!』
と元気よくアスハ邸から旅だった。
そしてその傍らには、アスランによって急ピッチで生み出された
美しい金色の毛と琥珀色の瞳の可愛い女の子。
『いってきますミャ〜!』
同じく元気よくアストロと手を繋ぎながら、
ニ匹、仲良く子供たちへの元へと向かったのだった。
大好きなアスランとカガリに見送られて―――
アストロの夢を叶える旅は始まったのだった。
END!・・・でもちょっとだけつづくのニャ。
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