大人しく、静かなアストロは一転、あの日からまたやんちゃで騒がしい子に戻った。
それは同時にカガリの笑顔を取り戻す事となって、全ては丸く収まったはずだったのだが・・・

「はぁ・・・」

今カガリは朝食の席、アスランの目の前で盛大なため息をついた。

 

 

 

☆★☆アストロ物語。☆★☆

だいはちわ:カガリとアストロと時々アスラン・・・なのニャ♪

 

 

 

 

真っ白い皿の上に盛られているカガリ手作りちょっと焦げ目のはいったスクランブルエッグを
最後のお楽しみにとっておいたアスランは、それに手をつけるのも忘れてカガリを見ている。

沈んだその表情は、太陽のような存在のカガリには似合わない。

その理由を聞くこともできそうにない雰囲気なほどに、真っ暗だ。

アスランの隣に座っていたアストロが、
アスランのスクランブルエッグをこっそり盗み食いしていることにも気付かないまま
アスランはカガリだけを見つめ続ける。

 

アスランの太陽が沈んだのは、一昨日の事だった。

その日は朝からスケジュールびっしりで、
役所や孤児院を表敬訪問することになっていたカガリは、
忙しいのも忘れて仕事といえど久しぶりに外に出られることを喜んでいた。
そう、アストロも同行することになり、出かける前までは笑顔だったのだ。

それがどうしたことか。
帰ってきた時にはぐったりと、項垂れるように疲れていたのだ。

今回こんな時に限ってアスランは同行していなかった。
だから理由がさっぱりわからないのだ。

 


ちなみに、いつもはカガリに彼方此方ひっついていくアスランが
どうしてカガリの傍を離れたのか・・・

どうして孤児院の代表者の方から、
「アスラン・ザラさんだけは連れてこないでください!」
とお願いされたからだ。

それを聞いたアスランは思った。
以前訪問した時にカガリの視線が自分にばかり向かっていたので
子供たちがヤキモチをやいてしまったのだと・・・そう思いこみまくっていたのだ。

その時に、カガリを押し倒そうとしたところを子供たちに目撃されてしまったため
院長に延々説教を受けた事も忘れてだ。

「子供たちの教育のためにも来ないでくれ!」

といわれているなんて思いもせず、
自分に都合のいいカガリとのラブラブ妄想に深け込んでいたのだ。
(そう思いこんでいるほうが彼には幸せだろうが・・・)

 

 

そんなアスランの心配も他所に、カガリは暗い顔のまま朝食を終えた。

「ごちそうさま・・・」

『アストロもごちそうさまなのニャ〜』

フォークを置いたカガリを見て、アスランも急いで朝食を終えることにした。
どうやらアストロも食事を終えたらしい。
自分一人だけこの場に取り残されてはまたアストロとのカガリへの心密度の差が生じてしまう。

最後のお楽しみのスクランブルエッグを頂こうと思い、下を向けば・・・

「・・・ん?」

皿の上は空っぽだった。

「・・・え?あれ?」

アスランは皿をひっくり返してみた。
どこを見てもスクランブルエッグの姿は見当らない。
皿の下にもない。机の下にも落ちていない。

どこだと思い隣を見れば・・・・・・

 

『ふぅ〜。おなかいっぱいなのニャ♪』

 

「・・・・・・」

 

満足そうにお腹を撫でている猫一匹。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

『カガリの作ったスクランブルエッグは最高ニャ!』

 

・・・・・・。

 

「・・・・・・・お・ま・え・か・ぁ〜〜〜〜!!!」

 

アスランはアストロの耳をこちら側へ引っ張った。
そしてその耳に、怒鳴りつけるかのように大声を張り上げる。

「俺の、俺の、俺の、おーれーのー!スクランブルエッグだぞーーー!!」

『アスランうるさいニャ〜!』

「だいたいおまえはロボットなのに何故物が食えるんだ!?」

『それはヒミツですニャ〜』

きゃーきゃー騒がしい2人をよそに、カガリは何も言わずただその光景を見つめていた。
それにアスランは気付く。
いつもなら「こら!いじめるんじゃない!」と自分に注意してくれるのに・・・。

それが、快感なのに――・・・・・
(この人、おかしいです)

 

 

アスランはアストロの首根っこをひっつかみアストロの動きを押さえ込みながら、
カガリにピンヒールで踏まれる妄想を繰り広げていた。
(この人、おかしいです)

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

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