☆★☆アストロ物語。☆★☆
だいななわ:かなしみのあすとろ2・・・なのニャ。
アストロの回路をチェックし終わったアスランは、もう1度主電源を入れてみた。
ガがガという音がした後、アストロが緑の瞳をゆっくり開ける。
『ニャ〜・・・』
アストロの第一声は落ち込んだような沈んだ声だった。
「どうしたんだ、おまえ」
『ニャ・・・』
誰が見てもわかるほどにアストロは元気がない。
落ち込んだような、猫にしては似つかわしくない憂いを帯びているというか・・・
ある意味、このままではカガリはさらにアストロにつきっきりになってしまうだろう。
もちろん、心から心配もしているからこそ、アスランはアストロに言葉をかける。
「何があったかは知らないが、元気を出せよ」
アスランの励ましにもアストロは沈んだままだった。
けれどややあってアストロはようやく元気がない理由を口にし始める。
『アストロ知ってるニャ・・・恋をするとどうなるか、知ってるニャ』
「は?」
『ニンゲンは恋をすると、顔があかくなるのニャ。』
「・・・まぁ、そうだな」
『ついでに巨乳も赤くなるのニャ・・・』
「待て!!!!!誰が言った!!??」
俺じゃないよな!?と必死に自分をフォローするも、多分アスランだ。
アストロは気にする様子もなく続ける。
『アストロ、知ってるニャ・・・。カガリはアスランに恋してるのニャ・・・』
「え!?」
アストロのいきなりのカガリの恋愛宣言に、アスランは無意識に大声をあげた。
今、アスランにしてみればそれはもうとっても嬉しいことを言われたのだ。
カガリが自分に恋をしているだなんて・・・
そんな当たり前だけど世界中の人に知っていて欲しいことを言われたのなら、
いつもはクールビューティーを自称しているアスランでも、歓喜で震えるものだ。
「はっはは〜!!いやー、やっぱりわかちゃうんんだろうなー!
カガリが俺にメロメロだなんて〜!いや〜、参った!」
こいつのどこがクールビューティーなんだろうかというツッコミはさて置き、
アスランは喜びに小躍り状態。
しかし、アストロだけは変わらず沈んだ表情だった。
「・・・あ」
それを見たアスランが同じように黙り込む。
元気のないアストロの前でちょっと騒ぎすぎてしまったか。大人気ない。
「アストロ・・・」
アスランはそっとアストロのナデ肩に手を置いた。
「アストロ、カガリが俺を愛してるのはわかってるがおまえに関係あるのか?
カガリが俺を愛しいと思ってるのは知っているんだ。
それでどうしておまえの元気がないんだ?
カガリが俺を見て胸キュンだなんてカガリが俺を愛しまくっているのとどう繋がりが・・・?」
彼は間違いなくアホである。
そんなアスランを見下した瞳で見ることもなく、アストロは俯いたまま呟く。
『アストロはひとりぼっちニャ・・・。
アスランのようにえっちなへタレのハゲでもカガリにとっても愛されてるのに、
アストロはまだ恋をしていないのニャ・・・』
「・・・どこか突っかかる言い方なんだが気のせいだろうか?」
思い当たる節があるのだろう。
まさしくその通りだ。
アスランはゴホンと大きく咳払いをすると、アストロに語りかけた。
「まぁ・・・アストロ、よく聞け」
『・・・ニャ?』
「俺はカガリと出会う前はおまえのようにひとりぼっちだったさ」
『アスランもにゃの?』
「あぁ!」
アスランは力強く頷く。
「だからきっとおまえにも、伝説の24話のような運命の出会いがあるさ・・・!」
アスランの白い歯が、キラリと光った。
爽やかな微笑みを見せた彼は、今は決してただのえっちでへタレなハゲではない。
アストロを生み出した心優しきナイスガイだ。
―決まった・・・!
心の中でそう思った。
そしてさらに、
―アスラン、ステキ!!大好きだぞ!!!
なんて妄想も忘れない。
「ははは!カガリ〜、半乳見えちゃってるぞ〜!誘ってるのか、、このこのっ♪」
やっぱり彼はただのえっちでへタレなハゲかもしれない。
『そうだよね!アストロにもいつか伝説の24話のような運命の出会いがあるのニャ♪』
アストロの立ち直りの早さは、アスランのカガリに対する手の早さと同レベルだ。
『半乳〜』
そして彼はまた要らぬ言葉を1つ覚えた。
さらに数日後、この言葉をカガリの前で使うものだから、
これを聞いたカガリにより雷を落とされることになるのもしらず、
アスランは今日もカガリとの甘い妄想に浸るのである。
でも、ほんとはやっぱりアストロを大切にしているアスラン。
「はぁ・・・まったく、あいつは・・・」
アストロが部屋から走り去った後、
ため息1つつきで机の棚に置いてあったアストロの設計図を取り出す。
「まったく、しょうがないやつだな」
そう言いながらも困った表情はしていない。
柔らかな笑みを浮かべて広げた設計図を覗き込んでみた。
そこには殴り書きのようなアストロの細部に渡る設定が書き込まれてある。
まさかもう一体作ることになるなんて思いもしなかったことだったので、
きちんと設計図を残しておいてよかったものだ。
少し改良しなくてはいけない部分もあるだろう。
「金色の・・・・ネコだな」
そう呟いて、アスランはアストロのためにペンを動かした。
元気を取り戻したアストロ。
2人(うち一匹)に何があったかカガリはあえて尋ねなかったが、
やっぱりアスランはアストロのママだと思う。
1番アストロのことをよくわかっているのは、きっとアスランなのだから。
『アスランはどうしたニャ?』
執務室の机の上にちょっとお行儀悪く座っているアストロが
いつもはカガリに鬱陶しいほどひっついているアスランが
さっきからいないのに気付いて尋ねた。
「アスラン、お休みして部屋にこもってるんだ」
『おやすみなのニャ〜』
「うん」
先ほど、いきなりアスランはカガリの前へやってきて「有給ください!」と言って部屋にこもりきり。
まるでアストロを誕生させたあの日のようだとカガリは思う。
机の上で頬杖をつきながらカガリはその机の上に大人しく座っていたアストロを撫でた。
「ほんと、アイツ何してんだろ?」
好きなことに集中したらなんにも目に入らなくなる彼を思い出して、
カガリは頬杖をついたままいろんなことを想像してみる。
アストロが遊べるような新しいおもちゃを作っている?
おもしろい読み物に耽っている?
アスランが何をしているか・・・それは誰も知らない。
アスランが今、アストロのために、
キレイな金色の毛と瞳のネコを生み出そうとしていることなんて
カガリもアストロも知らないのである。
けれども・・・
「・・・メスネコはなかなかイメージが浮かばないな・・・。
なんせカガリのように可愛いネコじゃないと・・・、
いや・・・。まずカガリにお願いして猫耳と尻尾をつけてもらうべきだ・・・!」
アスランは立ちあがる。
「そうだ、そうだ!アストロのためなんだ・・・!カガリにネコグッズを用意しなくては・・・!」
彼は知らぬ間に脱線していた。
「アストロのためにィィィーーーー!!!」
おまえが見たいだけだろ。
つづく。
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