『ただいまニャ〜』

 

「お帰りアストロ!!!」

 

 

 

 

☆★☆アストロ物語。☆★☆

だいごわ:あすとろ、きたく!!なのニャ!

 

 

 

 


帰ってきたアストロ。
そのアストロに最初に抱きついたのはカガリではなくアスランだった。
先を越されてしまったのがカガリはちょっぴり悔しかったが、
あれほど仲が良くなかった二人が抱き合う姿は、カガリの心を温めてくれる。

・・・大人になったな、アスラン!

カガリは嬉しく思う。
このまま2人が仲良しこよしになってくれれば――いらぬケンカも減るだろう。
それは即ち心労も減るということ。嬉しくてニコニコ笑い出した。
そんなカガリを見て、アスランとアストロは同じように嬉しくなる。

それもこれも、アスランが煩悩を追い払い、アストロが試験を頑張ったからかもしれない。

そう、アストロは、オーブ学校とやらに入学試験を受けに行ったのだ。
そして結果をすでに見てきたはず。

アスランはドキドキしてきた。
我が子の受験結果を聞くのだ。ドキドキしない母親なんていない。
実はすでに赤飯を炊いてあるし、今日はアジではなく奮発して鯛を購入してさえある。
これも全てアストロのためだ、と、
今月のカガリからもらったお小遣いの中で買ったのだ。

けれど一向にアストロは結果を話さない。
もしかして・・・ダメ、だったのか・・・?
イヤな考えが頭を過った。
母親として、そんなことは考えたくもないことだ。

アストロは頑張ったんだ。だから落ちたとしても・・・温かく受け止めなくては・・・!

知りたくて仕方ないアスランはいつ受験結果を聞こうかとタイミングをはかる。
しかし中々切り出せず、アストロはそんなアスランを無視するかのようにカガリにだけ話しかける。

『カガアスの試験が難しかったニャ〜!』

「カガアス???」

何語なんだ、とカガリが首を傾げる。
その仕草がアストロのツボに入ったのか、
一人頭を悩ませこの3日間心配し続けたアスランをほったらかしにカガリに抱きつくのだ。

『カガリ〜〜〜!寂しかったニャ〜!』

と、カガリの豊かで柔らかな胸の谷間に顔を埋めて。

「きゃ!・・・も〜、アストロってばっ」

『カガリ〜!大好きニャ〜!』

「・・・・・・」

何かがおかしい。
今まで穏やかな瞳でカガリパパと我が子の姿を見ていたアスランも、
何かがおかしいと気づき始めた。

『今日はいっしょに寝るニャ!』

「あぁ、もちろんだ!」

とっても仲良くじゃれ合う二人をアスランは一人ぽつねんと見つめている。
この胸から溢れ出す寂しさは、一体なんだろう。


昔、感じたことがある。そんなに遠くないあの日。

 

そう・・・アストロを生み出した日から自分を襲う寂しさ。そして嫉妬心。

 

この3日間のことを思い出した。

 

隣で眠ってもアスランはカガリの胸にぎゅうっと顔を埋める事はなかった。
遠く離れてるほどに近くに感じてる?いや、その胸は近いのに遠くに感じてた。
けれどこれもアストロのためだ、と。
アストロが一人頑張ってる中、自分はカガリとこんなにも簡単に1つになってはいけないと・・・!
そう思い我慢してきたのだ。

 

その胸に、顔を埋めるという「夢」と書いて「男のロマン」と呼ぶことを―――

 

 

それなのにこのネコは、いとも簡単に男の夢をやってのけるではないか―!

 

 


「・・・カガリにひっつきすぎじゃないか?」

 

いつもより声が低くなった。
笑顔で言ったつもりがどうやらちゃんと笑えてなかったらしい。

アスランはアストロの首根っこを引っ張りカガリの胸から引き離そうとする。

『いたいニャ〜!』

その声に、今度はカガリの声が低くなった。

「アスラン・・・おまえ、なんてことを・・・!」

カガリがアストロをアスランから庇うように抱き寄せる。
さらにアストロはカガリの胸の中へと誘われているではないか。

「カガリ・・・!!どうしてカガリはアストロばかりを庇うんだ・・・!?」

「おまえ・・・アストロと仲良くなったんじゃないのかよ・・・!?」

「俺はカガリと仲良くしたいんだッッッ!!!!」

『ケンカはよくないニャ〜!』

「誰のせいだよ!!!!!!」

おまえの煩悩のせいだろ。

 


誰だ、ママだなんて思い込んでたやつは・・・!!

 

アスランは心の中で唸り声をあげていた。

せっかくのチャンスを、自分のアホな頭のせいで潰してしまったのだ。

「あぁ・・・っ、俺のバカバカバカバカッッッ!!!」

溢れる後悔。溢れる下心。
あんなにしたかったのに、すんなり諦めてしまった自分が情けない。
諦めが悪いのだけが自慢だったのに・・・!!

そんなアスランを尻目に、未だにカガリの胸の中で幸せそうに「ニャニャー」言ってるネコ。
その姿は勝ち誇り笑ってるかのように思えるほどだ。

 

「くっそぉおおおお!!!!俺のバカァァァァァ!!!」

 

その場に倒れ込んで床を叩く。

そこまで落ち込むもんか・・・?とカガリは白い目を向けていた。

べ、別にしたければ、ちゃんと誘ってくれさえすれば私だってアスランと―・・・

そんなカガリの気持ちを知るはずもなく、アスランは自分を責め立て続ける。

 

「くそ、くそ!!バカっ!カガリを押し倒すのも我慢したってのに・・・!!」

『押し倒す・・・覚えたニャ!』

「覚えるなーーーーーーーー!!!!!!!」

『せっかく覚えたのにぃ〜〜〜』

 

多分絶対確実に、アストロの数々のえっちな言葉の原因はアスランにある。

 

やっぱりアスランはアストロのママだよな〜、と、
カガリは本当は仲がいい2人を見ながらそう思ったのだった。

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

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