アストロ物語 SP


☆★☆アストロ帰省編・後編/カガリ☆★☆

 

 

 

 


「さぁて、アストロ!一体どんな宿題なんだ!?こい!!」

臨戦体勢は整ったとばかりにカガリは身構えた。
今からリングにでも上がるかのような勇ましさだ。
全国のカガリさまファン(女性)たちはそのあまりのかっこよさにうっとりし惚れ直すことだろう。
自分がいかに罪な存在なのか気付くこともなくカガリはファイティングポーズを決めた。
今からするのは宿題なのに。

『あのねぇ〜、こどもたちから聞かれてわからなかったことにゃんだけど〜』

カガリとは反対にアストロはいつだってのんびりやさんだ。
カガリの波に飲み込まれることなくマイペースに話し始めたせいで、
カガリも一瞬だけ気が緩みそうになったが慌てて身を引き締めた。

ちょっとだけホッとしたのは、どうやら宿題は子供たちのものだということに。


よく考えてみればアストロがそんなに難しい問題をやっているはずがない。
彼はまだ子供なのだから。
でも身構えてしまった言い訳をすると、
アストロはアスランの作った子だし・・・アスランがとてつもなくたくさんの知識を埋めこんでいたら、
もはやカガリには太刀打ちできないものだと思い込んでしまったのだ。

けれど今回は施設の子供たちがアストロに尋ねた問題のようで・・・
ほっとしたカガリはさっきまでアスランと楽しんでいたお茶のカップを手に取り一息つくかのように飲み干す。

子供たちからの質問。
これなら自分でもちゃんと答えられるはず。大丈夫だ!
とカガリは自信を持つ。
カガリが落ちついてにっこり笑いもう一口紅茶を飲もうとすると、アストロが言った。

『赤ちゃんってどうやってできるのニャ?』

「ぶーーーーーーーっっ」

突然すぎてカガリは勢いよく紅茶を噴出した。
記述しておこう。彼女はれっきとしたヒロインである。

「あ、あ、あ、あああ、あ、あ、あアストロ・・・!?」

『ジェシカちゃんはコーノトリさんが連れて来るって言うし』

なんとも子供らしい可愛らしい発想だ。
それが真実ならば今のカガリはどれだけ助かった事か・・・。

『タローくんタローくんで、ちゅーしたら子供ができるって言うし・・・
でもそれなら、アスランとカガリには300人くらい子供いるのニャ・・・』

「そ、そんなにキスしてないぞ・・・!」

してるだろう。

『それは間違いだってわかってるニャ!
ちゃあんとタローくんたちに、アスランとカガリはちゅーちゅーしまくってるけどまだ子供いないって言ったもん♪』

「いやーーーー!!!!やめてーーーーー!!!!!」

オーブの未来を担う子供たちにオーブの代表の刺激的なプライベートの一部が
知らぬところで公開されていたことにカガリは耳を聞きたくない!と塞いだ。
しっかり口止めをしておくべきだった。
いや、そんなに自分たちはアストロの目の前でちゅーちゅーしてたのだろうか!?

「あ、あ、あああ、あアストロ・・・!それは人様に言っちゃダメなんだぞっっ」

『え〜!どうしてニャ〜!』

「どうしてもだ!」

『・・・じゃあ、アスランとカガリは朝から晩までちゅっちゅちゅちゅしてて、
ぎゅーってしてて時々「はい、あーん」ってご飯食べさせあって、どっちがより好きかってケンカして
仲直りにまたちゅっちゅちゅちゅして、
夜は2人きりにさせてくれ〜っていうのも言っちゃダメだったのかニャー・・?』

「いやーーー!!!!私らのバカァァーーー!!!!!」

代表首長の威厳形無しである。
もうテレビの前でシリアスな顔して会見なんて行えない。

「私のバカ・・・アスランのバカ・・・っ」

カガリの目からきらりと光るものが・・・。
ぐすっとその涙を飲み込みながらカガリは決意を新たにする。泣いている場合ではない。
こうなったら絶対国民の目からみて尊敬できる立派な人間になりきろう、と!
自分は国の代表だ。アスランのことばかり考えていてはいけないのだ・・・!

 

そう、デスティニー第4期並みの決意で立ちあがったのだ!

 

『じゃあ、どうやって赤ちゃんできるのニャ?』

「そ、そ、それは・・・っ」

どうやらアストロは本当の答えを知るまで許してくれそうにない。
そういえばアスランも言葉攻めをはじめたらなかなか許してくれない・・・なんてことをぼんやり考えた。
さっきまでの決意はすでに脳内アスラン色で崩れ去っていることに気付かずに。

「えっとな・・・えっとぉ・・・」

何とかアストロを納得させる答えを導き出さなくては。
閣議で出されてきた数々の難問より頭を抱えたくなる内容ではあるが、
これくらいのことを乗り切らなくてはこれから先だって乗り切ることなんてできないはずだ。

「・・・おしべとめしべがくっついて・・・」

無難なところで説明をはじめる。
やっぱりこの難問に初めて立ち向かう世の親は、美しき花に例えてみせるのが90%を占めることだろう。

『おしべ?おしべってにゃに?見せて?』

「え・・・!?そ、そ、それは・・・っ」

ぽっと顔を紅くしてカガリはアストロから視線を逸らした。
国家元首とはいえまだ10代の乙女に何を言わせようとするのか。
おしべと言えばアレだろう。
花のことはすっかり頭から消え去っているカガリ、職業、この国の代表首長。

「そ、そんなこと・・・私の口から言わせるなよぉ・・・っ」

もじもじと身体を摺り寄せる姿は、夜な夜なアスランから言葉攻めを受けている姿そのものだ。
アスランがその場にいれば大変なことになっただろう。
けれどまだまだ純粋なアストロがそんなことを知るはずもない。

『そっか・・・じゃ、アスランに見せてもらうのニャ!』

「ぎゃーーー!!!いやーーー!!!やめてーーーー!!!!」

大胆発言をさらっと、しかも本当にアスランのもとへ向かおうとしたアストロをカガリは抱き付いて引き止めた。

 

『アスランのおしべー!!』

 

「私が悪かったァァーーーー!!!!!」

 

こうしてアストロの思考回路に、『アスランのおしべ』が加わった。


案外今までのえっちな発言の数々も自分によるものが多いかもしれないと、
カガリはこの時初めて自分の発言を思いだし「アスランすまない・・・!」と反省するのだった。

 

 

 

 

 

 

つづく。

 

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