HARMONY

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝た?」
「うん、ぐっすり」

はしゃぎすぎた子供達は夢の中へ

サンタさんに会いたいから、と、目を擦りながら起きていたが限界だったようだ。
ひとつの毛布にくるまれている子供達。
サンタとの対面は叶えてあげられなかったけれど、枕元にそっと二つの贈り物を置いた。

 

 

 

疲れを追い払うかのように1度背伸びをした後、カガリがこちらを向いて言った。

「これからは、2人きりの時間だな?」

答えるかわりに彼女を抱き上げる。
いきなりのことで驚いたのか、最初は抵抗もなかった。
しかし事態を把握すると、急に暴れ出す。

「こ、こらっアスランッ!」
「しっ。・・・・子供たちが起きてくるよ・・?」

俺の注意が聞いたのか、ぱっと口元に手をあててカガリは黙り込む。
上目遣いに睨まれて、それを笑顔で返すとカガリも観念したのか微笑み返してくれた。

 

 

「おまえってサンタ信じてた?」

抱き上げたまま寝室へ向かう途中、カガリが突然切り出してきた。

「どうだろう・・・。ずっと昔は信じてたかもしれないけど・・・」

 

物心ついた頃には、すでにサンタが親だということを理解していた。
それを悲しいこととは思わず、現実だと受け止めていたから、子供らしくない子供だったのかも。
むしろ、俺が子供になったのはカガリと出会ってからかもしれない。
知らない感情をいっぱいもらった。
今でさえ、腕の中で語る彼女に、新たな愛しさが溢れている。

 

「私さぁ・・・1度、寝ずにこっそりサンタを待ってたことあったんだよ」
「へぇ・・・・」
「毛布の中にもぐりこんでさ、寝たふりして!」

瞳を閉じながら、カガリは嬉しそうに離す。
声のトーンがまるで子供だ。
幸せそうなカガリの姿を見るだけで、俺も幸せになる。

「で?サンタには会えた?」

もっともっと嬉しそうな彼女を見たくて、俺も同じようなトーンで聞き返してみた。
それがまた嬉しかったのか瞳を輝かせた。

「眠くなったその時さ、物音がしてこっそり顔をだして覗いて見れば」
「みれば?」
「そこに居たのは、真っ白なお髭のサンタさんならぬ、黒い髭のお父様」

けらけらと彼女が笑い出した。
俺もそれにつられて笑ってしまった。
笑い声が一通り静まると、優しい沈黙が流れる。
少しだけ見つめ合ったあと、聞いてみた。

 

「・・・・・・ショックだった?」
「それが、ぜーんぜん!・・・むしろ嬉しかったな。私のお父様は、サンタもやってるんだ!って喜んだ」

 

その言葉とは違い、彼女の瞳はうっすらと濡れていた。
今は亡き愛する者との愛しい日々を思い描いたからだろう。

その濡れた瞳に口付けた。
びっくりしたのか瞳が見開いて、そのあとすぐに笑ってくれた。
そしてまた、カガリは昔話を始めた。
彼女の口から聞く話は、どれもが俺を幸せにしてくれる。

 

彼女の言葉に耳を傾けながら、歩みは止めずに2人の寝室に辿りついた。

 

「到着しましたよ?姫君」
「こーら!姫って言うな」
「では、愛する俺の奥様?」

 

 

ベッドにそっとカガリの身体を下ろしてあげる。
そのまま俺も隣へ寝転がる。

 

それが合図かのように、カガリがあの歌をハミングした。

「♪〜」
「好きだな、それ」

彼女は唄うのを止めずに、こちらを向いて微笑みで返事をした。

 

楽しそうだったから、カガリから流れるハミングに俺も音を重ねてみる。
ベッドに横になりながら向かい合い、視線も重ねる。
手を絡めあって、微笑みあって、カガリが俺に聞いた。

「ラクスの歌より?」
「すごくいい」

2人で転がりながら笑い合った。

 

 

本当はそんなことなんてないのに、でもきっとそうなんだ。

 

 

何年たったって、変わることなんてない。
この音色が世界一美しい

 

2人で奏でる音が、涙がでるくらいに愛おしい

 

 

 

 

 

美しく輝く星は君という名を持つ

神様が特別に俺たちに贈ってくれた幸せは新たな星2つ


君に出会えた歓びよ

君を愛する歓びよ

 


「・・・・・・・・・・・・・いい?」
「・・・・・・・・聖なる夜だぞ?」
「カガリが一番」

 

 

特別な夜が、優しく降り注ぐ。


 

それは、何十年経とうと
色褪せることなく

永遠に
重なり合って

 

 

「メリークリスマス、・・・・アスラン」
「メリークリスマス、カガリ」

 

 

 

 

 

 


そう、君という星のもとで

 

永遠に重なり合おう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5夜連続でお付き合いいただいてありがとうございました!
以上でクリスマス話は終わりです。
1話ごとが短いですが、5話もやってるのってうちだけなのかも(笑)
子供たちのところまでいかないでおこうかなぁと思ってたんですけどね。
テーマは星、歌。
タイトル考えるのしんどかったです(笑)

何はともあれ、1日遅れのメリークリスマス!

 

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