クリスマスは賑やかに
大好きな家族の笑顔は華やかに

 

 

 

 

 

二つ星

 

 

 


ツリーのてっぺんに星を飾るのは、付き合ってた頃から毎年カガリの特権だった。
子供を授かったとき、高いところは危ないと1度だけ俺がかわりに星を飾ったことがあったけれども。
子供が生まれてからはまたカガリが飾るようになって、
子供達が少し大きくなったら、それは自然に、子供達の特権へとかわっていった。

1つしかない星は、毎年息子たちの争奪戦が繰り広げられ、
そんなこんなで、我が家のツリーの星が2つになったのも自然の成り行きだった。

 

今年も賑やかなクリスマスがやってきた。


常夏のオーブも、街は賑やかに彩られていく。

仲良く幼い息子たちが、いっしょに歌を歌っている。もちろんあの歌。
毎年カガリが唄っているのを、自然に覚えていったみたいだ。
元気よく楽しそうに歌うのはカガリに似て、少しだけ音をはずすところは俺に似て、
響く音はなんとも可愛らしい。
歌に夢中の二人がテレビ画面に映る街の賑わいと、それほど寒くもないのに着込んだサンタを見た瞬間、
サンタさんは暑そうだ!と同時に言った。

そんな幸せな光景に、俺は笑ってしまった。

 

「アスラン、ツリー!飾るぞー!」

奥の部屋から、ツリーのライトをぐるぐる巻きにして持ち出してくる愛する妻。
その姿を見て、子供達がわぁっとはしゃぎだす。
そして、そんな子供達を見て、彼女までもがはしゃぎだす。

「はいはい」

愛しい者たちにひっぱられながら、ツリーの用意をするのは俺の仕事。
大きめのツリーは、男手でしか持ち出せない。

カガリと2人でツリーを用意している間に、子供たちはどこかへ行ってしまった。
頭に疑問符を浮かべながら、息子達の名前を呼ぶと、2人仲良くぱたぱたと、こちらの部屋へ戻ってきた。


「「はい!」」
俺とカガリの前に並んだ途端に、何かを2人の前に差し出す。
画用紙に書かれたらしき星2つが綺麗に切り取られている。
どうやら息子たちが一つずつ描いたものみたいだ。


「これは・・・?」

何を意味するのだろうか?
俺はその星を受け取りながら、尋ねてみた。

「父上のほしです!」
「今までは2つしかなかったから」
「ことしは父上と、母上も!」
「かぞく4人で!」
嬉しそうに、星を手渡す二人。

俺と、カガリ、それぞれ一つずつ。
クレヨンで、黄色に塗られた星ふたつ。

きらきらきらきら。

 

 

「・・・・・・・・・よしっ!みんなで飾ろうッ!」

カガリが大きな声で言った。
少しだけ瞳が潤んでいて、感動で今にも泣き出しそうなこと、俺は知っている。
カガリの頭を優しく撫でた。本当は自分も少し泣き出しそうだ。

 

君達は気付いていない。


君達の何気ない言動が、こんなにも幸せにしてくれるってことを。

 

 

クリスマスは賑やかに
大好きな家族の笑顔は華やかに

「「メリークリスマス!!」」

 

 

セロハンテープでくっついたクレヨンの二つの星はなんとも不恰好。

 

それなのに、家族四人の星が、ツリーのてっぺんで一番きらきら輝いていた。

 

 

 

 

 

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