初めて2人で迎えるクリスマス

 

 

 

 

 

一つ星

 

 

 

 

互いにプレゼントを渡さないという約束のかわりに、彼女は言った。

「大きなツリーを買おう!」

どうして?と尋ねると


「ツリーだったら毎年飾れるだろう?パーティーにも使えるし!」
元気よくそう答えた。
だから、俺が反対する理由なんてない。

 

その日のうちに、大きなツリーを2人で購入した。
全額俺が出すと言ったのに、頑なに彼女はそれを拒んだ。

「2人で買うんだ!」
頑固な彼女の一言に、俺は喜んでしまった。

 

 

アスハ邸の自分の部屋に届けられた大きなツリーを見たカガリは、早速一足早めに飾りつけを始める。
色とりどりの飾り。
高いところに飾るのは俺の役目。
けれども、一つだけ彼女が譲らないものがあった。

 

大きなツリーのてっぺん。
黄色い星ひとつ。

「私、星が一番好きなんだ」

倉庫から持ち出したという脚立に脚をかけ、一番上へ手を伸ばす。
星よりもなによりも、その小さな白い手のほうが、輝いて見える。


「ライト、つけるぞー」

脚立から降りるとすぐにライトのスイッチを入れた。
光り始めた青、赤、緑、黄色。

「あの緑色、アスランの瞳の色だ」
すごく可愛く言ってくれたから、俺は嬉しくて額にキスを落とす。
瞬間、カガリの頬は赤く染まる。
「じゃ、あっちはカガリの髪。・・・それともカガリは赤、か?」
意地悪く言ってみたら、頬をおさえて唇を尖らせて、
俺をほってソファーのほうへと行ってしまった。

慌てて追いかける。
今はほら、もう、手を伸ばしてもいい距離。

 

 

2人でソファーに腰掛ける。寄り添いながら振りかえる日々。
ずっと1人で過ごしてきたはずなのに、今では隣に彼女がいる。

それは慣れていないことなのに、なぜかすごく心地よい。

 


特別な夜だから
いつも恥ずかしがる君が俺の腕に自分の腕を絡めてきた。

「・・・・・なぁ・・・?」

甘えたような声をかけられた。
何を言われるか内心ドキドキしているのを悟られないように、精一杯、
大人っぽくかっこよく、彼女に視線を合わせた。

こんな甘えた可愛い声で、一体何を言ってくれるのだろうか?

「・・・・・・・・・・・・・・オーブのサンタって、暑そうだよな?」

俺の思いとは裏腹な、でも彼女らしい可愛らしい問いかけ。
少しだけ噴出したら、痛くない程度に腕をつねられてしまった。

だから、これ以上ご機嫌を損ねないように、真剣に答えてあげる。

「子供たちのために頑張ってるんだよ」
「そっかぁ」
納得したのか、つねっていた指を離し、また深く寄り添ってくる。
こてんと、頭がこちらの肩にのっかった。
心地よい空気は、もっともっと暖かくなっていく。

「じゃあ、私達にも子供が生まれたらサンタはくるかな〜」

 

何気なく言った、彼女。
俺は少しこの喜びに頭がまわらなくなった。身体は震えたかもしれない。
それに浸って、返事を返さずにいると、
自分が言ったことの意味に気付いたのか、その顔は次第に赤く染まり始める。
彼女が固まりかけているのが、肩越しでわかる。

う、あ・・・と、口をぱくぱくしながら、奇妙な声を発する君。
その姿に、また噴出してしまった。

そして、つねられる。

 

「・・・・・・・・・・・きっと、来てくれるさ」

つねっていた、指が、ぴたりとその動きを止めた。
それと同時に、彼女の顔が、ゆっくり、俺のほうへと向き直る。
見開かれた瞳に微笑みかけて・・・・

「楽しみだな」

俺のたった一言で、俺のたった一つの星は、今は真っ赤になってしまった。

 


君という人が、神様がくれた最高の贈りもの

 

 

もうすぐ聖なる夜がやってくる

 

 

 

 

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